事故物件の告知基準は曖昧すぎる!? 「30年前に殺人事件が起きた部屋」は事前に教えてもらえるのか?
ーー具体的に、不動産会社によって告知基準が異なるという例を教えてください。
花原 まず、自殺、他殺の場合は、どこの業者も確実に告知します。しかし、「何年前のことまで告知するのか」がグレーゾーンであるため、20〜30年前でも丁寧に告知する業者もあれば、それくらい昔のことだと、もう近隣の人たちも覚えていないとして、告知しない業者もあります。ただ、たとえ20〜30年前でも、気にする人は気にすると思うので、難しいところですよね。
佐藤 10年前までだと確実に告知するのですが……私が知っている限りではあるものの、最長で30年くらい前の事故を告知した事例はありました。
ーー自殺、他殺以外はどうでしょうか。
花原 お部屋の中で、ご家族の方などに看取られて亡くなられたケースは、ほとんど告知しませんが、中には丁寧に告知を行う業者も。また同居するご家族が目を離した隙に病死されていたという場合は、告知する・しないが半々というところでしょう。
佐藤 その程度のものであれば、事故物件には当たらないでしょうし、最近では「告知事項」ではなく「容認事項」として、「そういうことがありましたよ」とお伝えする業者も増えていています。業者が買主や借主にお伝えするという点で、同じことではあるのですが、「告知事項」だとちょっと重いので、その場合は「容認事項」と言っているんです。
ーー孤独死の場合はどうでしょうか。
花原 孤独死になると、「発見までの日数」が一つの基準となっています。1〜2日だとすれば、告知するところが半分、もう半分は「よくあること」として告知しないところといった印象。一方、発見まで何週間も経過していると、やはり近隣の方に伝わっている可能性が高いので、ほとんどの場合告知すると思います。
佐藤 業者によって告知基準が変わるというのもありますが、状況によっても変わってきます。例えば亡くなってだいたい1週間発見されないと、やはりにおいが発生して、近隣の方に知られる場合が多い。逆に、同じ1週間でもにおいが発生せず、近隣にも知られていないと、告知しないケースがあるようです。亡くなられた時期が夏か冬かによっても、その後の告知のあり方が全然変わってくるんです。
ーーちなみに、事故が起こった隣の部屋というのは、告知されるのでしょうか。人によっては、「隣の部屋でも嫌」と感じる人はいると思います。
花原 場合にもよりますが、隣接の部屋を買う・借りる方にも、ほとんどは言うと思います。あとは階段やエントランスなどの共用部で事故が起こった場合ですが、部屋から近いかどうかでも告知する・しないが変わります。また、共用部の事故は、マンションの管理組合が記録するパターン、しないパターンがあり、前者だと後からわかることなので、先に告知するというところも多いですね。
佐藤 分譲マンションとアパートでも違いますよね。アパートだと、丸々一棟にオーナーさんがいるので、ほかの部屋にも事故があったことを告知するケースがある一方、分譲だと部屋ごとにオーナーさんがつくので、ほかの部屋には何も言わないというケースもあります。