サイゾーウーマン暮らし食べ物食材の生かし方・知識を更新できる「食材の手帖」 暮らし [連載]白央篤司の「食本書評」 『おいしく食べる食材の手帖』書評:沸騰湯NGの野菜9種は? レシピの読解力がアップする快い1冊 2020/04/09 19:00 白央篤司 料理「食本書評」白央篤司 アク抜きが不要な場合とは……? 食材それぞれ、野崎さんの好きな食べ方も多く紹介される。気になったオクラのとろろを作ってみたら実にうまい。ツクネイモのような強い粘り! めんつゆ、卵黄と一緒にそうめんと合わせてみたら最高だった。(白央) 「なぜ、こうやるのか」がわかると、レシピは格段に面白くなる。調理プロセスの意味が分かるということは、レシピの読解力が増すということ。そうすると、料理する楽しさも増してくる。 よくある野菜のアク取りや下処理に関して野崎さんは、「アクは野菜の持ち味」であり、「抜かなくていい場合だってある」とし、その理由のひとつとして「見た目を気にしないとき」を挙げる。 家庭の料理、自分のための料理なんだから、お店がやるようなことまでやる必要はない、と折々で線引きしてくれるのが、うれしい。ただ、料理人として引けない点もある。もやしの項から、ちょっと長いけど引用を。 「『見栄えを重視する料理屋のやり方を、むやみに家庭に取り入れるのはよくない』というのがぼくの基本の考えですが、もやしのひげ根に関しては、取ることをおすすめします。なぜなら、ひげ根ともやしの食感に差がありすぎるからです」 たしかにひげ根は、取るとおいしさが確実に上がる。むやみにラクを推奨するわけではない姿勢に、私は真摯で一徹なものを感じるのだ。また、もやしのほどよいゆで時間を知れたのもよかった。今まで長くゆですぎていたなあ……。こんなふうに、ごく基本的なことでも気づかされることが多い。 「いわしは臭みがあるからショウガを入れて煮るといいとよくいわれますが、実際、いわしは臭いでしょうか。(中略)しょうがを入れるのは、流通がよくなかった昔のやり方」 といいつつも、野崎さんはいわしの煮物にしょうがを入れるという。それは臭み消しの目的ではなく、「青背の魚の脂っぽさとしょうがの苦みがよく合うから」と。“イワシの煮つけにはショウガを入れるもの”と特に理由も考えることなく、セオリーとしてやっていた自分に気づいた。 次のページ 料理初心者にもベテランにも 前のページ123次のページ 楽天 おいしく食べる 食材の手帖 関連記事 『藤井弁当』書評:15年間お弁当を作り続けた人気料理研究家による、「お弁当のワンパターン化」が実用的!『まいにち湯豆腐』書評:「ラクを優先派」から「探求心強め」まで幅広いタイプを満足させるバリエーション『とろみのレシピ』書評:短所もわかる、魅惑のとろみ料理を紹介! まずはお手軽な“銀あん”うどんから使い切れない「塩麹」、米と炊けば簡単おいしい! アボカドとアーモンドの塩麹たきこみご飯山本ゆりさん【じゃがもちウインナー】、大葉とウインナーってこんなにウマいの!? 相性抜群で衝撃