地下食品街を荒らす「カフェ店主」摘発! 「万引きで仕入れ」大胆すぎる手口にGメン衝撃
駅員の呼びかけを無視して階段を駆け上がった彼女でしたが、ホーム上に出たところで追いつかれると、力尽きたようにしゃがみ込みました。老体に鞭を打って階段を駆け上がり、ようやくに追いついた私は、息を切らせながら駅員さんに事情を説明して協力を求めます。
「もう逃げるのは、やめにしましょうね。電車来るから、危ないですよ」
事態を把握した駅員さんが、駅事務所を貸してくれるというので、両足の爪先を上げて歩こうとしない彼女の両脇を二人で担ぎ上げるようにして、改札階に向かうエレベーターに乗り込みます。エレベーターの扉が開くと、どなたかが通報されたようで、すぐに二人の警察官が歩み寄ってきました。簡潔に事情を説明した後、即座に彼女を引き渡して、行き先を駅前の交番に変更します。
「このバッグに商品を隠して、金を払わないまま駅の中に逃げたってことね」
交番に着くなり、プロレスラーに劣らぬほど大きな体をした警察官が、彼女のバッグから被害品を取り出しました。2店をハシゴして盗んだ商品は、計13点、被害合計は1万2,000円ほどとなりました。彼女の所持金は1,000円足らずで、クレジットカードや電子マネーも持っていないので、商品を買い取ることはできません。警察官による身分確認の結果、彼女は34歳。結婚はしておらず、身寄りを失くしたばかりで、迎えに来てくれるような人はいないと言います。観念した様子で、なに一つ精算してないことを認めた彼女は、つい先日も別のスーパーで万引きをして捕まったばかりだと告白しました。
「前に捕まった時、もうしないって約束したと思うんだけど、なんでやっちゃったの?」
「ごめんなさい。お店を開けて、すぐにコロナ騒動が起きて、全然お客さんが来ないんです。それで苦しくて、つい……」
傍らで話を聞いていれば、同居していた母親が亡くなってしまい、自分の生計を立てるべく隣町の商店街にカフェを開店したそうで、その経営が思わしくなく犯行に至ってしまったとのことでした。盗んだ商品は、全て店で使うつもりだったと話しています。交番の汚いデスクに並べられた被害品を眺めてみれば、厚切り豚ロース肉、鶏モモ肉、和牛ミスジステーキ、ソーセージ、パルメザンチーズ、ピザ用のシュレッドチーズ、コーヒー、ビスケットなど、確かにカフェで使うようなものばかりを盗んでおり、その理由に嘘はなさそうです。