サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー『ザ・ノン』NGKに戻ると語る花子 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー 『ザ・ノンフィクション』自分のためにNGKに戻ると語る花子「ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~ 後編」 2020/03/02 19:01 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。3月1日放送のテーマは「ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~ 後編」。 『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより あらすじ 2019年12月。宮川大助・花子による会見が行われ、花子はがんの治療中で、復帰の目処はまだ立っていないことが発表された。花子の病気は18年3月、突然立つこともままならなくなり発覚。血液のがんのひとつ、症候性多発性骨髄腫と診断され、余命半年を宣告される。当初は放射線治療が功を奏したが全身に再発。寝たきりの生活で、自力で歩くこともできなくなった。 花子と大助は1975年、駆け出しの芸人だった頃にたまたま同じ興行で知り合い、9カ月後に結婚。大助はガードマン、花子は警察官に転身する。娘にも恵まれ、花子は家庭生活に幸せを見出していたが、大助はずっとネタを書き続け、花子を説き伏せる形で夫婦漫才として芸能界に復帰する。仕事では成功を収めるも花子は流産や胃がんなど苦難が続く。一方で大助が脳出血で倒れた際は、花子は劇場に一人立ち、病気の大助をネタにするなどセンターマイクを守る。 2017年に二人が紫綬褒章を受章した際、花子は会見の席で涙を流す大助に「漫才に誘っていただいて本当にありがとうございました」 と話す。19年の年末年始に、花子は一時帰宅し、大助と普段は自分たちも出演していた正月恒例の漫才番組を居間で楽しそうに見ていた。 「公演を中止する」と「今まで通りのスタイルで公演する」の間にあるもの 花子は戻りたい場所に「NGK(なんばグランド花月)のセンターマイク」を挙げた。自分のために戻る、戻ろうと何度も口にした。生粋の舞台人なのだ。番組が伝えていた今年の年始の頃までは、「花子が体調を取り戻せば」舞台に戻れるはずだった。 しかし日本は今、自然災害やテロなどの事件とはまた違った困難、新型コロナウイルス感染症の拡大に直面している。明確な被災地が存在せず、どこに潜んでいるのかが見えない。 この状況下で多くのコンサート、舞台が中止となっており、花子が復帰を誓うなんばグランド花月も「3月2日から当面の間、全ての公演を中止又は延期すること」を決定している。花子が満員のなんばグランド花月で客を沸かす光景は、明日も続いていく当たり前の日常のように見えて、安全や健康の上に成り立っているかけがえのないことだったのだ。 コロナウイルスの影響で軒並み、舞台、コンサート、講演が中止になる中で、劇作家の野田秀樹氏は感染症が撲滅されるべきであることには意義申し立てをするつもりはない、とした上で「劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません」「それは『演劇の死』を意味しかねません」「劇場公演の中止は考えうる限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべき」と、自身のサイト「野田地図」で表明した。 「0(=公演をただ中止する)」と「1(=劇場で、今まで通りのスタイルで公演する)」の間にあるものの模索が、急務で求められている。自分の体験からして、「実際に生で見る舞台」と「撮影したものをDVDや動画配信で見る」では、伝わる迫力が残酷なまでに違うことを知っている。 生の迫力にはかなわないが、VR(ヴァーチャル・リアリティ)など、通常の映像配信より臨場感が伝わる媒体を活用した配信、という形も手段の一つなのかもしれない。0と1の間にどういった選択肢があるのかは今多くの舞台人や関係者が必死で模索しているはずだ。そしてこのやり方の模索は「劇場に行かないと見られない」という舞台において、新しい観劇スタイルの誕生にもつながるかもしれない。脅威に対し「なすすべもない」が続くのは精神的にもつらい。何か画期的なものが危機的状況から生まれるという希望を持って待ちたい。 次週のザ・ノンフィクションは「映画館に暮らす一家の物語 ~廃墟に移住した切替家の6年~」。秋田県大館市にある築65年、敷金・礼金ゼロ、フロなし、家賃わずか5万円の物件は、映画館の廃墟だった。切替家はなぜここを選び、ここでどうやって暮らしているのか? 石徹白未亜(ライター) 専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。 記事一覧 X:@zPvDKtu9XhnyIvl いとしろ堂 最終更新:2020/03/03 11:58 楽天 STAGE navi(vol.40) ジャニーさんならどうしたのかな? 関連記事 『ザ・ノンフィクション』難病宣告を本人にしなかった時代「ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~ 前編」『ザ・ノンフィクション』日本的ではないという武器「もう一度 お父さんに逢いたい ~ホストの僕とフィリピンパブ嬢の母~」『ザ・ノンフィクション』お笑い界の情と情け「はぐれ者で生きていく ~借金とギャンブルと夢の行方~」『ザ・ノンフィクション』不良少女を怒り、叱るという意味『モモコと熱血和尚 おじさん、ありがとう』『ザ・ノンフィクション』農家の嫁の反抗期『私って嫁ですか 妻ですか ~農家に嫁いだ友紀子の結婚~』 次の記事 東京事変のライブ敢行に「怖すぎ」の声 >