「いきなり!ステーキ」社長メッセージが反発呼ぶワケ――校正者が「客を追い返す文章」と一刀両断
この一瀬氏直筆メッセージ作戦は、話題にはなったため、その点では狙い通りだったかもしれないが、「集客面へのプラス効果はまったくないと言えるのでは」と厳しく評価するA氏。では、どのような点をリライトすればよいのだろうか。
「すでに、マーケティングや経営コンサルティングの立場からリライトを試みた、その分野の専門の方がいらっしゃいます。ただ、どれも業績や情報を丁寧に補足する分、さらに長文になってしまっています。それも正しい在り方の一つではありますが、店頭で読ませるものとしては適していません。長文なら自社ホームページに『社長から今月のメッセージ』コーナーでも設けて発信するとよいかもしれません」
A氏は校正者として、具体的なリライト案のポイントを挙げる。
「第1弾が12月初旬、第2弾が年明けの1月第1週目に掲示されたということで、そのタイミングであれば、タイトルを『年末のご挨拶』『年始(新年)のご挨拶』にすべきだと思います。いくら“イケイケドンドン”のスタンスでも、季節の移ろいぐらいは感じる経営者でいてほしいところです。時節に合った挨拶は心がけるべきでしょう。それは紙にぎっしり書いてしまうことも同様で、余白で読ませるゆとりはほしいです」
また、メッセージには、自社が食文化を発明し、店舗の拡大を続けたこと、一転、業績が悪化し店舗が減少したこと、さらに「肉が硬い」というクレームと悪い口コミへの危惧や今後の抱負などが脈絡もなくつづられていたが、「これらはつまり『自慢』であったり、『腹が立つこと』であったり、『懇願』であったりなど、感情的なメッセージなんです。一企業の社長としては、当然そこはぐっと堪えるべき。特に、口コミ内容を過剰に意識しているようで、その点が気になりますね。そこをお客様に悟られると『ケツの穴の小さい奴』と思われてしまい、社長も不本意でしょう」という。
さらにA氏は「1.店頭に貼ること」「2.手書きふうであること」「3.最低限発信したい情報」「4.少々『らしさ』(拙さ、よく言えば実直さ)を残す」を条件にメッセージをリライトしてくれた。