コラム
オンナ万引きGメン日誌
万引き犯に「おれと結婚してくれないか」と口説かれ……Gメンが呆れた「生活保護老人」の顛末
2019/12/28 17:00
まもなく駆けつけた警察官が、カバオくんの身体捜検と犯歴照会に続けて、自転車の防犯登録を確認します。すると、その自転車が盗品であることが判明。一時は逮捕もあり得る雰囲気になりましたが、悪運が強いのか基本送致される(逮捕、拘留されることなく書類送検されること)に止まりました。
「おい、とっつあん! こんなに金を持っているんだから、生活保護なんて必要ないだろう」
所持金の出所を自慢気に話してしまったがために、警察から市役所に通報されることにもなり、生活保護の支給まで見直される様相です。2人並んでベンチに座り、迎えのパトカーを待っていると、ようやくに自分の立場を理解したらしいカバオくんが、ひどく落ち込んだ様子で呟きました。
「えらいことになっちゃったなあ」
「仏様にひどいことした罰なのかもしれないわね」
少し意地悪気に話すと、不意に背筋を伸ばしたカバオくんが、神妙な面持ちで手を合わせて祈り始めます。
「母ちゃん、おれが悪かったよ。勘弁してくれ……」
盗んだモノを仏前に供えるなど、決して許されることではないのです。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)
最終更新:2019/12/28 17:00