サイゾーウーマンコラムオンナ万引きGメン日誌口説いてきた万引き犯にGメンあきれ コラム オンナ万引きGメン日誌 万引き犯に「おれと結婚してくれないか」と口説かれ……Gメンが呆れた「生活保護老人」の顛末 2019/12/28 17:00 澄江(保安員) オンナ万引きGメン日誌 汚れた黒革の財布には「札束」が! (やっぱり、声をかけないとダメね) 出入口脇にある駐輪場で、使い古された自転車のカゴにレジ袋を入れたカバオくんに、警戒されぬよう親しげに声をかけます。 「もう、お帰りなの? なにか、お忘れじゃないかしら?」 「ああ、あんぱん? あげるからウチで一緒に食べようよ。女房が死んでからは、おれひとりだから、大丈夫。汚いアパート住まいだけど、金はあるよ」 身分を明かすことなく声をかけてしまったのが悪かったのか、随分と勘違いしている様子のカバオくんに、あらためて用件を告げます。 「私、実は、このお店の保安員なんです。あんぱんじゃなくて、草大福とお花のこと、ちょっと聞かせてもらいたいのよ」 「ああ、花と大福は、死んだ女房の仏壇にあげるんだよ。すぐそこだから、線香でもあげてやってよ」 「そうじゃなくて、ちゃんとお金を払っていただかないと困るんですよ。ちょっと事務所まで来てもらっていいかしら」 「ああ、そうだ。うっかりしちゃったなあ。面倒だから、ここで払うよ」 カバオくんは、ズボンの後ろポケットから、使い込まれて四隅が白くなった黒革の二つ折り財布を取り出し、中身を見せつけるように財布を開くと、新券の1万円札を取り出して私に押し付けました。財布の中には、大量の1万円札が束で入っており、一見して100万円近くあるようにみえます。 「迷惑かけたから、釣りはいらねえよ」 「そういうわけにはいかないのよ。事務所で払ってもらっていい?」 「仕方ねえなあ」 事務所で身分を確認させてもらうと、カバオくんは73歳。子どもはおらず、身寄りもないそうなので、ガラウケ(身柄引受人のこと)は用意できそうにありません。被害を確認すると、計3点、合計894円となりました。財布には、90万円ほどの現金が入っており、なぜ盗んだのか気になります。 「こんなにたくさんお金あるのに、どうして払わなかったんですか?」 「お供え物にお金つかうの、もったいないじゃない。すぐダメになっちゃうし、誰も食べないから」 「そんなことしたら、仏様が可哀想ですよ。ひどいなあ」 「ああ、あんた、優しい人だな。よかったら、おれと結婚してくれないか。生活保護をもらっている関係で、安アパート住まいだけど、博打で年に1000万は稼いでるから金はあるんだ。おれと一緒にいたら贅沢できるよ」 まるで反省していない様子で、楽しそうに私を口説き続けるカバオくんに呆れた店長は、いつもなら出さない被害届を「今回は、出す」と意気込みました。これから警察対応を始めるとなると、間違いなく残業となり、経費負担が増します。早く帰宅したい一心で、再考するよう仕向けてみましたが、店長の意思を変えることはできませんでした。 次のページ 「生活保護なんて必要ない」意外な展開に 前のページ1234次のページ Yahoo 新品本/万引きGメンは見た! 伊東ゆう/著 関連記事 「人間のクズ」と店長戦慄! 万引きGメンに捕まった少女、その両親の恐るべき“復讐”とはさっき捕まえた「ヨーダ似の老婆」舞い戻ってきた!? 万引きGメンの「世にも奇妙な物語」万引きGメンの息子が、スーパーで「万引き」! 「親子で何やってんだよ」店長さんの痛烈な皮肉「このくそババア!」鬼嫁にブチギレられた“万引き老婆”……Gメンとの再会で恨み節炸裂!!フードコートに巣食う「万引き老女グループ」の実態! まるで「鬼婆」――Gメンも恐怖!