コラム
オンナ万引きGメン日誌

万引き犯に「おれと結婚してくれないか」と口説かれ……Gメンが呆れた「生活保護老人」の顛末

2019/12/28 17:00
澄江(保安員)

 こんにちは、保安員の澄江です。

 仕事柄、万引き事件に関する報道は、毎日必ずチェックしていますが、長年にわたって万引きの現場に携わってきた私から見ても、近頃の事案は目を疑う内容のものばかりです。特に衝撃を受けたのは、連続発生した警察官による万引き。なかでも、山形県警の警視(49)による事件には驚愕しました。地元で交通安全講習の講師を務めた帰り、県内にある百貨店の食品売場に立ち寄って、牛タンやタラバ蟹の缶詰(1個・5,400円)などを複数ずつ盗んで逮捕(被害総額は1万3,000円相当)されたそうです。報道によれば、声をかけた女性保安員を突き飛ばして、20メートルほど逃走した後、たまたま居合わせた人たちに取り押さえられたとのこと。事後強盗(窃盗犯が、財物の取り返しを防ぐため、逮捕されることを免れるため、または、罪証隠滅のために、暴行・脅迫をすること)にもなり得る事案といえ、我が事として立場を置き換えて考えてみれば、とても許せる内容ではありません。犯行理由を問われた警視は、なんで盗んでしまったのか自分でもわからないと供述しているそうですが、盗んだモノや数から判断するに初めてのこととは思えず、常習性を感じてしまいます。

 また、車やラブホテルを根城にして、埼玉県下で万引きや店舗荒らしなどを繰り返していた泥棒一家の摘発も衝撃的でした。盗みの実行役は父親と息子で、盗品を高値で買い取らせるために磨き、換金するのは母親や長女といった具合に役割分担していたそうで、家族で組織的な犯行に臨む暮らしぶりは昔の盗賊のように思えます。盗んだモノを食らい、換金することで生活してきた一家の行く末を思うと、暗澹たる気持ちにさせられました。

 失うモノのない人が、一番強い。

 近頃は、規範意識はおろか、モラルの欠片もない、いわゆる志願兵(刑務所に入りたくて万引をする人)をはじめ、「無敵の人」による犯行が目立ちます。万引きだけでは警察に相手にしてもらえないからと、声をかけてきた店の人や保安員に暴行をして、留置場入りを目指す人まで存在するのです。もはや、年金や生活保護などを受給できる立場にあるだけでも、幸せなのかもしれません。今回は、とある生活保護受給者を捕らえた時のことについて、お話ししていきたいと思います。

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