『おっさんずラブ』座談会【前編】

『おっさんずラブ』シーズン2に腐女子たちが物申す! 「BLタブーを犯した」の意味とは?

2019/12/13 18:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

『おっさんずラブ』劇場版で見たかったのは爆破シーンではない!

――大盛り上がりの中、終了したシーズン1でしたが、その後劇場版を挟んで、シーズン2の詳細が告知されるとファンは大騒ぎになりましたよね。

A シーズン2の詳細が発表されて、突然ファンが爆発したわけではないんですよ。一個人の視点からですが、最初にファンがざわついたのは、シーズン1の最終回予告だったと思っています。

C あれは荒れた~(笑)。最終回予告で、春田と黒澤部長の結婚式シーンが流れたんですよ。牧春のハッピーエンドを期待していた腐女子が大荒れに荒れて。これってつまり、コミケで「〇〇×●●」というカップリングが表記された同人誌を買ったのに、家に帰って読んでみたら、別のカップリングだった……みたいなことですから!

A しかも、春田が黒澤部長を受け入れているように見えたのがよくなかった。「それでいいのか! 春田!」って。結局、牧とハッピーエンドになったからよかったですが、あの時、公式SNSアカウントに抗議メッセージを送ってたファンも多かったから、テレ朝の製作陣は「腐女子こわっ」と思ったかもしれませんね(笑)。

B その後の劇場版はどうでしたか? もちろん「面白かった」という人も多かったとは思いますが、私が見たいものではなかったですね。もっとイチャイチャしてる2人の幸せな日常を拝みたかった。製作陣は、黒澤部長のコメディ要素が世間にウケてると思っているのではないでしょうか。


A 春田が寝坊する、牧が朝ご飯を作る、2人で一緒にそれを食べて出勤する、同僚から「ラブラブだね~」とやいのやいの言われる……そういうのが見たかったのに! 派手な爆破シーンなんて別にいらなかったんですよ。

B テレ朝って刑事ドラマや特撮ドラマに長けているから、お家芸である爆破をやりたくなっちゃったのかもしれません。あと劇場版は、「春田と牧の物語が続くのかな?」と期待させるようなラストでしたよね。シーズン2は「田中圭以外のキャストが未定」と伝えられていて不安だったこともあり、あのラストに希望を見いだしたファンは少なくなかったのでは。なのに、シーズン2の詳細が発表されたら、牧がいなくなっていて、世界観も全然違っていて、でも、春田と黒澤は存在しているという。「お前らは誰だ?」と思いました。

C Twitterの公式アカウントがそのままシーズン2に引き継がれたり、インスタグラムの「武蔵の部屋」の過去投稿が消されたのも悲しかった。私たちの大好きなあの世界が、上書きされていく、なかったことにされていく……という。

A 本当に、日々公式から燃料がドバドバ投下されているような感じで、大炎上でしたよね。田中圭がシーズン1の放送中から、ブログで「遣都と遊んだ」などと報告してくれていたんですけど、その影響なのか、どこか春田と牧がドラマ内だけでなく、現実世界にも存在して仲良くしているような錯覚にとらわれていたというか。だから、そんな2人が引き離されてしまう、なかったことにされてしまう、とショックを受けた部分もあったかもしれません。

B 正直私は、その感覚は理解できないんですよ。2次元にしかハマッたことがなかったから、役はあくまでも役だと思うし。でもAさんの話を聞いて、その感覚の人がシーズン2の発表を受けたら、死ぬな、と思いました。


C 私は、一部のファンの行動に耐えられなくて。11月1日の牧の誕生日に、新聞にお祝い広告を出すというファン主導の企画があったじゃないですか。この世から消されかかっている牧の存在を知らしめたいという切実な気持ちはわかりつつも、一部のファンが牧を私物化していないかと思ってしまって。オタクのエゴというやつですよね……。

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