【米エンタメ2019年総決算】2019年はボディポジティブで稼いだセレブ、来年は環境系ビジネスに注目!?【渡辺志保×辰巳JUNK対談(中)】
第1回では、カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバーの宗教への傾倒や、それを支えた米社会の素地、またお騒がせセレブから社会派へのソフトランディングを目指すキム・カーダシアンの動きを解説してもらった。第2回では、ビジネスマンとしてのセレブをテーマに対談してもらった。
【米エンタメ2019年総決算】カニエ「宗教に傾倒」、カーダシアン家「コントロール不能」、ビヨンセは「優等生すぎ」!?【渡辺志保×辰巳JUNK(上)】
――前回、リアーナがコスメブランド「FENTY BEAUTY BY RIHANNA」(以下、フェンティ)、ランジェリーブランド「SAVAGE X FENTY」(以下、サヴェージ)で成功したという話が出ましたけど、本業以外で稼ぐセレブの流れにはどういった背景があるのでしょうか?
渡辺志保さん(以下、渡辺) ビヨンセやジェニファー・ロペスもそうですけど、香水を出したり、コスメブランドとコラボしたりとか、ファッションビジネスに食い込むというのは昔からありますよね。リアーナがすごいのは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)と組んで、基礎から自分のブランドを作ったこと。
辰巳JUNKさん(以下、辰巳) ソーシャルメディアが普及して広告費をかけなくてもいいし、実店舗がなくても通販で十分商売が成り立つんですよね。普通に広告を出すよりも、インスタグラムでポストしたほうがいい。でも香水の売り上げは下がっているんです。2000年代に「セレブがやるうざいことランキング」に絶対入っていたし。その理由が、信頼性というか、「あのセレブが感じられる」みたいものがないから。
渡辺 確かに。本人は関わってなくて、名前と写真だけ貸してる感じがね。
辰巳 アリアナ・グランデの香水の売り上げがいいのは、アリアナがちゃんと関わっているから。アリアナらしさが出ているし、ファンも好きそうなものに仕上がっている。今の時代、セレブの時間を借りて、それなりにディレクションしてもらわないと売れないらしいんです。レディー・ガガのコスメブランド「Haus Laboratories」はターゲティングがすごくはっきりしていて、主にクィア・カルチャーに近しい人たちの個性をパワフルに表現しますというような路線を打ち出している。その文化が好きな消費者に偏るかもしれないけど、セールス的には堅い。
渡辺 辰巳さんのおっしゃる通り、「なぜこれが売りたいか」という思想やバックグラウンドがはっきりしている商品に、より多くの人が共鳴する。それが購入に至るポイントだと思います。