アラサー独女、5つの罪で逮捕――裁判で明らかになった「移住した離島の特殊な環境」とは
さて、裁判傍聴の楽しみのひとつに、“法廷戦術ウォッチング”があります。
敏腕弁護士が絶妙なタイミングで証拠や証人を出し、被告が涙を流す中で裁判長が減刑……といった場面を、ドラマや映画で見たことがあるかもしれません。これは「公判前整理手続」といって、裁判の“見どころ”のひとつでもあったのですが、現在は非公開の「事前調整制度」というものができてしまった関係で、こうした熱いシーンはほとんど見られなくなってしまいました。
一方、今回のように、被害者がいなくて、被告が罪を全面的に認めている事案では、検察がどこをネチネチと突っ込んでくるのかが、個人的なお楽しみポイントです。彼らは“アラ探し”をするのが仕事ですから、相手に少しでもダメージを与えられると判断すれば、臆面もなく突っ込んできます。
S子の裁判では、若い女性検察官が1人いるだけでした。キャリアが浅くてもなんとかなる事案、ということで任されたのでしょうか。しかしこの検察官、事件に全く関係がない、S子の婚姻歴や恋人の有無まで陳述書に書いていて、非常にネチネチしておりました。“ふしだらな女”という印象でもつけて、「異性関係が派手だと交通違反しがちなんです!」とでも言いたかったのでしょうか……? それならそれで、明確なエビデンスを示してほしいものです。
さらに気になったのは、S子が発作を起こした時、「なぜ救急車を呼ばなかったのですか?」という質問。さすがの私も「うわ、愚問!」と驚き。そうです、S子が答えていたように、「島には救急車がないから」です。この検察官、被告が暮らしている環境すら、何も調べてないんだなあ~、あんたの印象の方が悪くなるよ~と、あきれてしまいました。
……とか偉そうに言いましたが、検察というのは非常に大変なお仕事です。彼女にこそ、離島でのんびりとした時間を過ごしてもらいたいですね。
(オカヂマカオリ)