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シャープ公式Twitter、一般人との絡みに「気持ち悪い」の苦言も――専門家に問う「炎上リスク」

2019/11/29 17:30
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
SHARP シャープ株式会社公式Twitterより

 大手企業の公式Twitterアカウントらしからぬ“ゆるい”ツイートが話題を集め、2019年11月末現在で62万以上のフォロワー数を誇るシャープ株式会社。SNS上で「シャープさん」と呼ばれている同アカウントは、時に一般ユーザーとシャープ製品についてざっくばらんにやりとりをしたり、自社に対する赤裸々な本音を漏らしたり、時事に絡めた笑えるネタ投稿をしたり、はたまた他社の企業公式アカウントとの絡みも見せるなど、活発なTwitter活動を展開している。

 「デジタルマーケティング戦略」情報サイト「DIGIDAY」に掲載された記事「中の人が語る、『 シャープさん 』が受け入れられる理由:公式 Twitter アカウント運営の極意」では、同アカウントを運営するシャープマーケティングジャパンのマーケティング統括部・デジタルマーケティング部主任、山本隆博氏が、「シャープさん」を、「企業アカウントでありながらできるだけ生活者から承認され、友人・知人になれないか、というTwitter上での試み」と、説明しており、事実、「シャープさん」を身近な存在に感じ、ファンになった一般ユーザーは多いものとみられる。

 しかし、そんな「シャープさん」に、先ごろTwitter上で、一般ユーザーから“苦言”が呈される一幕があった。これまでも、一般ユーザーと積極的に交流を図ってきた「シャープさん」だが、ある特定の女性ユーザーと以前から特に懇意にやりとりをしていることに、「企業公式アカウントとして、いかがなものか?」「ノリが寒いし、気持ち悪い」「マイナスイメージにしかならない」などの声が上がったのだ。この女性ユーザーも、「シャープさん」を上回る67万人超のフォロワーを抱える人物だけに、ネットユーザーの注目が否が応でも集まる中、両者のやりとりは続けられてきたのだが、「シャープさん」の振る舞いは、企業にとって「リスク」になってしまうのではないか――そこで今回、『ネットで勝つ情報リテラシー』(筑摩書房)の著者であり、講演活動などを通して「ネットで絶対に失敗しない方法」を伝えている、ネットリテラシー専門家の小木曽健氏に取材を行い、「シャープさん」の一件を踏まえ、企業公式アカウントが“炎上しないために気をつけるべきこと”を聞いた。

「シャープさん」はインフルエンサー

 まず、小木曽氏は、「シャープさん」について、ゆるいツイートをするさまざまな企業公式アカウントの中でも「別格」の存在であり、「人気No.1企業公式アカウント」と言っても過言ではないと、評価する。

「『シャープさん』は、企業公式アカウントでありながら、もはやインフルエンサーと同レベルの影響力を持っています。例えば冷蔵庫を購入する際、『特にこだわりはない。だったら「シャープさん」のところの製品を買おう』というケースもあり得るレベルです。『この人の意見を聞こう』と思わせることも、インフルエンサーの特徴ですから、もう十分その定義に当てはまるでしょう」

 インフルエンサーレベルにまで登り詰めた企業公式アカウントは、小木曽氏いわく「ほかに思い当たらない」とのこと。「近いところで言えば、防衛大臣の河野太郎さんの公式アカウントくらいでしょうか。河野さんはTwitter上で、自分を攻撃してくる敵までも巻き込んで、“笑い”を作り出し、味方にしてしまうという、ずば抜けたコミュニケーション能力を持っています」。

「同様に『シャープさん』も、ツイートの視点は斬新だし、言い回しも巧み、また投稿タイミングが的確であるなど、コミュニケーション能力がずば抜けて高い。“中の人”である山本さんは、ご自身を『現実では途端に喋らなくなる人』と評しているそうですが、きっと現実でもコミュニケーション能力が高いはずです。『現実世界でだけ・・、ネットの世界でだけ・・、コミュニケーション能力が高い人』というのは、普通いないですからね。もし山本さんが個人でSNSアカウントを開設したら、『シャープさん』ほどではないにせよ、人気のアカウントになると思います」

 そんな「シャープさん」が企業にとってリスクになり得るとすれば、「もちろんそれは、山本さんが会社を辞めた時。『シャープさん』の代わりなんて誰もできません。『アニメ声優の交代』以上のインパクトがあるでしょうね」と小木曽氏。ほかの企業でも、公式アカウントが、ある程度の人気を博したものの、“中の人”がプレッシャーに耐え切れなくなって辞めてしまう例は決して珍しくないそうだ。そんな中、「山本さんは2011年からの長期間、公式アカウントを運営されています。その点もまたすごいなと感じます」という。

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