サイゾーウーマンカルチャー社会インフルエンサービジネスの闇 カルチャー 『ねほりんぱほりん』インフルエンサー回を見て NHK『ねほりんぱほりん』インフルエンサーの実態――SNSで生まれる“闇”“マウント”の背景とは 2019/11/15 19:15 高橋暁子 社会 11月6日・13日に前後編で放送されたNHK Eテレ『ねほりんぱほりん』が話題となっている。「インフルエンサー」というテーマで、前編「驚きの『いいね』テクニック大公開!」後編「光と闇!マウントを取り合う女たち」と2回にわたり放送された内容について、ITジャーナリストで10代のSNS利用や情報リテラシー教育を専門とし、『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)を刊行した高橋暁子氏が考察する。 【5分動画】 本日放送の「インフルエンサー前編」。このあと23時30分から5分の短縮バージョンを公開! 1ヶ月の収入が最高300万円・・・ですかぁ・・・300・・・万円・・・https://t.co/WTWZf5kHax pic.twitter.com/14fhI8RvFH — NHK ねほりんぱほりん (@nhk_nehorin) 2019年11月6日 『ねほりんぱほりん』は、山里亮太さんとYOUさんが声を務めるモグラのぬいぐるみ「ねほりん」と「はぽりん」が聞き手となり、ブタのぬいぐるみに扮したゲストが赤裸々トークを繰り広げる番組だ。 インフルエンサーとは、SNS内で影響力を持ち、企業から依頼を受けて商品などを写真に撮ってSNSに投稿する人のことで、紹介料や商品などをもらうことで仕事として成り立っている。「普通の生活をしている人が、1枚の写真をSNSに投稿するだけで10万円稼ぐ」こともできるわけだ。インフルエンサーとして番組に登場したゲストは、Instagram中心の20代と30代の女性がそれぞれ1名、Twitter中心の20代女性1名の計3人。彼女たちのインフルエンサーの実態や作戦をバラす、あけすけなトークが面白くも怖い。 替えがきく自覚によるマウンティング 番組を見た素直な感想は、「マウント怖い」「闇が深い」。特に後編は、ゲストに登場した3人の女性たちによるリアルなマウンティングが生々しく、今にもつかみかかりそうな一触即発の雰囲気だった。では、なぜ彼女たちはマウントを取ろうとしており、「自分以外はすべて敵」と言い切るのだろうか。 それは、彼女たち自身が今の地位が安泰とはまったく感じていないからではないだろうか。人の心をつかむことには多少秀でているけれど、芸能人ほどではなく、あくまで計算とか努力でつかんだ地位であり、運の要素が大きいことも自覚している。 つらいことがあっても必死に頑張れるのは、高い報酬のためだけではなく、ちやほやされて特別扱いされることで得る満足感が高いからだ。美容系のイベントで配られるお土産の量でフォロワー数がわかるため、ほかの人より多くもらえると優越感があると話していた。けれど、「インフルエンサーは誰でもなれる」と当人も言っている通り、自分が非常に中途半端な存在であり、いつでも替えがきく存在ということがわかっている。だからこそ必死だし、他人を押しのけて少しでも上に行こうとしているのだろう。 自分もフリーランスだから、彼女たちの心情は多少なりとも理解はできる。選ばれなくては仕事がこなくなり、こなくなれば廃業となる。ただしインフルエンサーとフリーランスが大きく異なるのは、彼女たちにとっては自分以外すべて敵だが、フリーランスでは同業者はむしろ協力者という点だ。フリーランスにも将来への不安はあるが、彼女たちの抱く不安はその比ではないだろう。 次のページ SNSの口コミは本当に信じられるのか? 12次のページ Yahoo ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち 関連記事 ニッキー・ミナージュ、インスタの「いいね!」非表示化に「広告料を搾取しようとしている」と咆哮!虐待者の心理を理解する必要性について――『ザ・ノンフィクション』「目黒・結愛ちゃん虐待死事件」「Googleのレビューはもっとひどい」――“食べログやくざ”告発の店主を直撃、さらなる激白!居酒屋の無断キャンセル事件を弁護士解説! 「嫌がらせ目的」でなければ逮捕されない?「女に生まれたこと」への絶望と諦め……世界中の女性が感じる痛みを描いた映画『少女は夜明けに夢をみる』