カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「Seventeen」11月号

「Seventeen」SNS中毒のJKに「アンチ対策」!?  違和感を覚える犬山紙子のアドバイス

2019/10/29 17:00
藤本なつき

 最後に取り上げるのは、「JKの5人に1人が被害にあってる!!(涙) 今日から悩まないために……アンチ対策本部2019」です。インターネット上での嫌がらせやいじめに悩まされる読者に向けて、日常的にSNSにクソリプやクソアドバイスが大量に送られてくるというエッセイスト・犬山紙子が、アンチの行動分析やアンチに屈さないヒントを教えるという企画です。

 なんと、ST読者の10人に1人が、質問箱(SNSを使い、匿名で質問を募集・回答できるサービス)や、インスタグラムのコメント欄などに、相手への嫌味や日頃の恨みを書き込んだことがあるといい、反対に5人に1人が、SNS上で悪口を書き込まれた経験があるそう。そんな、被害者・加害者のどちらにもなり得るST読者に、犬山は、「匿名のやりとりでも“IPアドレス”が残るので、警察を通せば追跡できる」「卑猥な画像が送られてきた場合は、法的処置をとれば損害賠償をとれる」「“JKは~”“男子は~”など大きい主語で語ることは控える」「オタ垢(オタクアカウント)や趣味垢など楽しめる場所をたくさん持っておくこと」などをアドバイスするのですが、「SNSから距離を置く」という選択肢を伝えることはなく……。犬山氏は読者のことをアルファツイッタラー(フォロワー数が多く、発言が大きな影響力を持っているTwitterユーザー)とでも思っているのでしょうか!? 

 「SNSは使い方しだいで将来の成功につながることも。だからみんなには、アンチに屈せず、自分がやりたいこと・発信したいことを貫き通してほしい!!」「アンチ対策で無敵人間になれたら、あなたの圧勝ですっ」という犬山氏からのメッセージで、同企画は締めくくられていたものの、SNSで勝ったり負けたりを考えることに、そもそも違和感を抱きました。  

 ブログやTwitterの投稿が、現在の活動につながっている犬山氏からすれば、“SNS”は重要なツールかもしれません。しかし、読者の大半は普通の高校生。嫌がらせをする方が100%悪く、被害者が泣き寝入りする必要はないものの、再び嫌な思いする可能性があるSNSを利用し続けることが有効な策とは思えませんでした。

 最初にチェックしたコーディネート企画も架空とはいえ、SNS上での評価を気にしてばかり。生まれた時からインターネット環境が整い、初めて手に入れた携帯電話がスマホという女子高生世代からすれば、SNSは日常の一部なのでしょう。ただ、ファッションからカルチャーページまでSNSを登場させる『ST』は、読者に「SNS断ち」をさせたくない事情でもあるのか気になるところでした。
(藤本なつき)

最終更新:2019/10/29 17:00
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