人気インスタグラマーが「パクリ疑惑」で謝罪! もし著作権侵害が認められたら……弁護士解説
Twitter上で拡散された、KURUMIの「パクリ疑惑」を指摘するツイートには、「krm」のベストとシャツの写真、またパクリ元とされる別ブランドのアイテムの写真がそれぞれ添えられていたが、ネットユーザーの間で「まったく同じ」「ちょっと真似したレベルではない」などと言われるほど、デザインが酷似している。山岸氏は、「krm」のアイテムに「著作権侵害」が認められるのであれば、著作権法第119条により、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される」可能性があるという。
「なお、この罪は、著作権を侵害された他社ブランドが、捜査機関に対し、親告(処罰を求める意思表示)を行うことで、初めて起訴されるものです。捜査機関は他社ブランドからの親告を受けて、捜査を開始したり、検察官において起訴したりします。また、これらの刑事手続とは別に、他社ブランドは、民事手続の一つである損害賠償請求を行うことが考えられます」
では、著作権侵害の損害賠償“額”は、どれほどになるのだろうか。
「例えば、交通事故(物損事故)の場合、『故障した車のその時の価値』が『損害』となるのですが、『著作権』は、『侵害された権利』を金額に算定するのが難しいため、あらかじめ法律(著作権法第114条)に算定方法が規定されているんです」
具体的に、デザインを盗用した側をA、盗用された側をBとすると、「A側が実際に販売した盗用アイテムの数」×「(もしAが盗用アイテムを販売していなかった場合)Bが販売できたはずのアイテムにより得られる利益(単位ごと)」が「損害」になるという。
「実際はもう少し複雑な計算になるのですが……Aが、盗用アイテムを100枚販売していた場合、Bは、盗用アイテムが世の中に出回っていなければ売れたはずのアイテム100枚について、1枚につき1,000円の利益が見込まれていたのであれば、100枚×1,000円=10万円が損害となります。また、A側が、どうやら『10万円の利益を得ている』といった場合には、Bはそれを『損害』として主張することもできます。このように、著作権を侵害された方が、裁判において主張・立証に困ることがないように、法律が手厚く保護しているんです」
一方で、韓国から仕入れたものをオリジナルアイテムとして販売するのも、「同じく著作権侵害として、刑事罰に問われたり、損害賠償請求されることになります」と山岸氏。今後は、韓国から仕入れたものであることを、購入者にわかるようにしていくというが、「他社から購入したブランドを再販売すること自体は、問題がないようにも思える」とのこと。
「しかし、例えば、韓国のブランドが、日本でロゴなどの『商標権』を取得しているような場合、商品を包装し直す際にロゴを付け直したり、セット販売されている洋服などを小分けにして販売したりすると、今度は商標法違反の疑いも発生します。この場合も刑罰の対象となったり(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される)、損害賠償請求されたりもします」