知られざる女子刑務所ライフ74

元女囚が考える、経産省と文科省の薬物犯罪――エリートコースよりもキメセク優先?

2019/09/22 16:00
中野瑠美

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■子どもの薬物犯罪が増えている

 先日、2018年に薬物依存で精神科の治療を受けた10代の子どもたちの4割以上が、市販薬を乱用しているというニュースを見つけました。

 皆さんは子どもの頃にせき止めや風邪薬を大量に飲んでラリったことはありますか? ガチの不良ではなくても、「(シンナーは罪悪感あるけど)せき止めならドラッグストアで買えるから大丈夫」的な経験はあったのと違いますか? 編集者さんからは「はぁ? ないすよ」と、あきれられましたけど。

 今はネットに、入手方法はもちろん、「○○をどのくらい使うとこんな感じ」みたいな情報はたくさん出ていて、「見たらアカン」と言っても限界がありますから、規制は難しいと思います。それに、せき止めだけでなく、大麻の使用も増えているそうです。子どもたちの犯罪自体は減っているのに、薬物と振り込め詐欺(の受け子)に手を染める子どもたちが増えているんですね。


■「エリートなのに」? 「エリートだから」?

 子どもたちがこんなですから、オトナの乱用も当たり前なんでしょうか。まあ私も前科者なんで、偉そうなことは言えませんけどね。

 この夏は、経済産業省と文部科学省のエリートさんの、薬物関係の逮捕が話題になりました。もしかして、今までは隠してただけで、ホンマはけっこうあったんかも……と、チラッと思いました。

 9月10日に経産省の元キャリアの覚醒剤使用事件の判決公判がありました。この方は、うつ病になってシャブに逃げたそうです。いいことではないですが、気持ちはわからないでもないですね。いわゆる泳がせ捜査の摘発やそうで、アメリカから取り寄せたファッション雑誌の袋とじに覚醒剤が入っていたんですね。今どきはやりのビットコインで海外のネット通販で買い、職場でも使用してたそうです。

 せっかく東大を出たのに、残業が続いてうつ病になり、主治医から抗うつ剤を処方してもらううちに、「より強い刺激」を求めるように……ちゅうことですね。もちろん初犯なので執行猶予ですが、今後はどうされるんでしょうか? 「エリートなのにもったいない」のか、「エリートやからこそ、こんなこともしでかす」のか、どっちなんかなあと思いました。


新品本/女子刑務所ライフ! 中野瑠美/著