近藤真彦、「泣いちゃいました」というジャニー社長への追悼コメントに見る「怖いオトコ」の顔
それでは、メリー氏のような情の深い人が好むのは、どんな人だろうか。
まず情が深い人というのは、「この人を大事にしなくてはならない」と思い込みやすい人と言えるだろう。それでは、どんな人を「大事にしたい」かというと、マッチの母親のように、身を挺して忠誠を誓ってくれる人と、「自分が面倒を見ないといけない気にさせる人」、つまり、庇護欲をそそる「甘え上手な人」と言えるのではないだろうか。
若い世代にはぴんと来ないだろうが、昭和という時代は「オトコは人前で涙を見せるべきではない」という考えが主流だった。なぜ男性が泣いてはいけないかというと、泣くと「弱い人」「オトコらしくない」と見なされたからである。自分の評判を落としかねない弱さを露呈することは、情の深い人を「そこまでの犠牲を払ってくれるのなら、自分が面倒をみてあげなくては」という気持ちにさせるのではないだろうか。
そういえば、マッチのかつての恋人、中森明菜も情が深い人だった。かつて明菜が「お母さん」と呼び、付き人を務めていた木村恵子氏が出した暴露本『中森明菜 哀しい性』(講談社)によると、明菜は「結婚のため」マッチにかなりの金額を貢いでいたそうだ。1987年の「日本レコード大賞」では、マッチと明菜は二人とも大賞候補としてノミネートされているが、受賞したのはマッチだった。発表を聞いた明菜が手を叩いて喜んでいたと記憶している。明菜はすでに2回レコード大賞を受賞していたが、自分が受賞したときよりも、はるかにうれしそうに見えた。自分よりも恋人が成功する方がうれしかったのかもしれない。
ジャニーズ帝国の女帝メリーと昭和の歌姫・中森明菜を自在に操った近藤真彦。悪いオトコというと、口のうまい男性を連想する人も多いだろうが、本当に怖いのは「甘え上手」なオトコかもしれない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。