近藤真彦、「泣いちゃいました」というジャニー社長への追悼コメントに見る「怖いオトコ」の顔
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます
<今回の有名人>
「長男でいながら、何度も泣いちゃいました」近藤真彦
7月9日、ジャニーズ事務所社長・ジャニー喜多川氏が亡くなった。「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」としてギネス世界記録の保持者である氏の逝去に対し、所属タレントたちがコメントを発表した。
タレントたちのコメントは、自身を見いだしてくれたことへの「感謝」と故人の「人となり」に触れながら、愛情表現をしているものが多い。
例えば、木村拓哉は「今の自分があるのも、ジャニーさんとの出会いが無ければ…。と思うと感謝してもしきれません」と「感謝」し、少年隊・東山紀之は「ジャニーさんが教えてくれた、人に対する優しさやプロ意識がなければ、僕はここに存在していなかったでしょう」と、故人の「人となり」を感じさせながら、その教えがどれほど有意義なものであったかを明かしている。
例外として、TOKIOの長瀬智也が「ジャニーさんはカッコ良すぎるのでたぶん地獄行きです」と弔事の際に使われることのない「地獄」という言葉を使っているが、その後に「僕も地獄を目指している男なのでまた地獄で会いましょう」と続けているので、長瀬なりの愛情表現ということがわかる。
そんな中、シンプルにしてオリジナリティーが高いと私が驚いたのが、マッチこと近藤真彦のコメントである。
「倒れてから3週間、病室で数々の奇跡を見せて頂きました。あらためてジャニーさんの強さを感じました。タレントと社員が、もしかしたらという心の準備をする時間もいただきました。さすがジャニーさん、最後まで最高なセルフマネジメントでした」
と、ここまでは出来事とジャニー氏の「らしさ」を時系列順に説明している。注目すべきは、その後だ。
「長男でありながら、何度も泣いちゃいました」
コメントを出したタレントたちは、ひたすらジャニー氏に感謝し、氏のイズムを継承していくことを誓っている。それは大人としては正しい判断だが、ビジネス的な立ち位置からのコメントと思えないこともない。しかし、マッチだけは弱さを隠さず、「泣く」ことで氏の喪失を悼んでいる。家族のような近しい人が旅立った時に、涙することはおかしなことではなく、むしろ当たり前である。となると、マッチの「泣いちゃいました」という言葉は、最も強い愛情表現はないのではないだろうか。