ホストクラブ「300万円偽札事件」勃発――歌舞伎町を震撼させた“未解決事件”に思うこと
ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。
「歌舞伎町のホストクラブで偽札が出たらしいよ」
ある日、ホス狂いの友達からこんなLINEが送られてきた。友人いわく、「会計で偽札を使われた」とホスト自身がTwitterで告発したそうだ。使用された偽札の総額は、300万円。そして、ホストはこうも語っていたという。
「偽札で発生した不足分はお前が払え、とお店に言われた」
「お店に尽くしてきたのに、裏切られた気持ちだ」
ここからは、事件の全容を私の視点でレポートした記述である。どうか、週刊誌の特集記事のページをめくるような気持ちで、読み進めてほしい。
そもそも偽札事件が起きたのは、4月の月初め。月初めと言えば、ホストの世界では、たいていは「入金日」(前月分に売り掛けをしていたお客が入金する日)を意味する。入金に間に合わなくて偽札を使ったのかな? 一瞬そう思い、すぐに考え直した。偽札を入手する方がよほど大変そうだ。
もしそのお客が風俗嬢だったとして、風俗で連日出勤して売り掛け分を稼ぐことと、偽札を手配することの難易度を、私は天秤にかけた。天秤は一瞬で傾いた。もちろん、偽札手配へ、である。偽札を作ったり入手したりする方がよっぽど難易度が高い。子ども銀行券でも使ったのだろうか。子ども銀行券1000兆円みたいな。いや、さすがにそれはふざけすぎだろう。
そう思いながらTwitterを開いた。もちろん、アクセスするのは、ホスト遊びのために作った裏アカウントだ。そのタイムラインは、偽札の話題で持ちきりだった。私が知る限り、ホストクラブで偽札を使う事態が表沙汰になったことなぞ、ただの一度もない。初の事例と言っていいだろう。
ゆえに、ホストおよびホス狂いへ与えたインパクトは大きい。激震、といって差し支えない。歌舞伎町の「チ-37号事件」である(知らない人は検索してみてほしい)。結論を先取りするようだが、本件もまた未解決事件として闇に葬られたので、あながち的外れなたとえでもないはずだ。