笑いは現場で起きている?

霜降り明星、ハナコ――“高学歴”エリート芸人が続出も、「集客力は……」と現場は不安顔?

2019/06/01 10:00
木原友見

コンプラ重視な時代だからこそ? 破天荒さが受ける金属バット

 テレビ以外ではどうなのだろうか? 芸人はライブでの集客力も重要だ。お笑いライブ企画スタッフはいう。

「少し前のことです。劇場で和牛が出演できなくなり、代打で霜降り明星が出ると発表されたら、客から大ブーイングが起き、結局和牛が出ることになった騒動がありました。出演者の変更はよくあることなのに、客が許さなかったんです。劇場としては、和牛と霜降りを同格と考えたんでしょうが、ライブシーンでの評価は全く全然違いますよ」

 吉本の劇場のチケットサイト『チケットよしもと』の検索急上昇ワード一覧(5月22日現在)を見ると、和牛、アインシュタイン、アキナ、ミキ、金属バット、ダイアン、トット、EXIT、コマンダンテといった芸人の名が連なるしかし、霜降り明星、ハナコといったエリート芸人たちの名はない。

「『今、集客力があるコンビは?』と訊かれたら、金属バットの名が挙がります。彼らは昨年のM-1敗者復活戦で注目され、一気にブレークしました。その魅力は、今どき珍しいほどの破天荒なキャラクターです。吉本の社員は金属バットの名前を聞くと困ったような顔をしますから、相当手を焼いているのでしょう(笑)。この春も“無理やり入れられた仕事をブッチする”という旨をボケ担当の小林圭輔がツイートして話題になりました。マネジャーにメールで伝えれば済む話をネットに公開してわざわざ炎上させるのは、相当困ったちゃんな行動で、僕らはドン引きしますが、ファンやネット民は彼らを称賛していました。“破天荒で芸人らしい”ということです。金属バットの人気を見ていると、お笑い好きが求める芸人像というのは、スマートな秀才ではないように思うんですよ」(前出・制作会社社員)

 どんな業界でも、頭脳明晰な若者は重用される。しかし、多様性があってこそのエンターテイメントだということを考えると、いろんなタイプの芸人が存在した方が面白いようだ。
(木原友見)


最終更新:2019/06/01 10:10
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笑いも多様性の時代