女性ゲーマー座談会【前編】私たちは「恐怖」と戦っている――“男性社会”なゲーム業界を語る
――みなさんは、男性も含めてほとんどのゲーマーより技術があって、単純に強いと思うんですが、それでも「女だから」誹謗中傷されてしまうんですね……。
セリーナ 本当にゲームが好きで、真剣に勝とうとしてる女性がいる、という感覚がまだ薄いんだと思います。確かに、ゲーム業界で活躍して注目されるのはほとんどが男性だから、珍しくてちやほやされるのがうれしい女性ゲーマーがいるのも事実だとは思います。でも、周りのことなんてどうでもよくて、ただただゲームが好きな女性も結構いるよ? っていうことは、わかってほしいです(笑)。
あさい 普通に勝ちたいし、うまくなりたいよね。まあ、私たちが相当負けず嫌いなのは確かだけどさ(笑)。ただ、実は私自身も「女の子には絶対負けたくない」と思うことも正直あるので、自分が“女性”にとらわれている部分もあると思います。女性のゲーム人口が増えてきたら、今ほどはライバル視しなくなると思うんですけどね。
――今、「女性をライバル視する」といった話もありましたが、女性プレイヤー同士の距離感はどんな感じですか。
raz 私は“競技”としてゲームをしている意識の方が強いですが、ゲームの話ができて、仲良くできれば、勝ち負けにこだわらない遊び方でも気にならないです。とにかく、1人でも多く女性プレイヤーが増えてくれるのがうれしいです。
花子 女性だけのオフイベントを開いてるのも、それが目的なんですよ。男性と一緒だと、参加しにくい方もいるので。でも、そういうイベントにわざわざ遠方から来てくれて、「ゲームセンターに初めて入りました!」っていう子がいたりするんですよね。その子にとっては、地元のゲーセンよりも、東京の女性限定イベントの方が、心理的に距離が近かったというか。自分がガチのゲーマーってことを言えずにいる女性も含めたら、実はすごく多いと感じてます。その人たちが楽しく遊んだり、「ゲームが好きです」って自信を持って言えるような環境を作っていきたいです。
セリーナ ゲーマーが集まる対戦会でも、女の子ってどうしても目立ちます。周りの人にキツく当たられるのはもちろん怖いけど、逆に優しくされすぎても、「あいつは男漁りに来た」って見られたりして……。「行くだけで叩かれるから嫌だ」って、ほかの人と交流を避ける子も多いんです。
――なるほど、「女の子だから嫌な思いさせないようにしよう」と思われすぎても、困ることがあるんですね。
あさい 自分よりうまい人は男性の方が多いし、本当はそういう人にアドバイスをもらいたいんですけど、叩かれるかもしれないと思うと、それもしづらくなっちゃったり……。だから、性別について意識せず、単純にいちゲーマーとして教えてくれる人は、本当にありがたいし尊敬してます。
raz 私たちは、とにかくうまくなりたいだけです。最後は男の人たちも含めて、性別関係なくプレイヤー全員に勝ち、1番になりたい。それだけを思って、日々練習に取り組んでいることは知っておいてほしいと思います。
(後編へ続く)