婦人科医・松村圭子先生インタビュー

避妊の概念が覆される!? 婦人科医に聞く「子宮内避妊具ミレーナ」のメリットとデメリット

2019/05/11 18:30
千葉こころ

ミレーナにデメリットはあるのか?

――インターネットなどで調べていると、メリットばかりが謳われています。実際のところ、デメリットはないのでしょうか?

松村 挿入時に、人によっては痛みを伴うことがあります。あと、装着当初は一時的に生理痛がひどくなったり、不正出血が続いたり、月経血量が増えることもあります。これらの症状は次第に落ち着きますが、事前に説明していても、不安を感じる人はいますね。稀にですが、ミレーナが子宮から脱出してしまうこともあるようです。

――そのようなデメリットは誰にでも起こり得るのでしょうか?

松村 子宮の向きや大きさなど個人差によります。すごく痛い人もいれば、違和感があるくらいの人もいるなど、本当にそれぞれです。例えば、子宮筋腫などがあって、内腔が変形していると、脱出しやすいといった可能性もあるでしょうね。

――ミレーナが合う人、合わない人はいますか?


松村 子宮の個体差によるので一概には言えませんが、事前にエコーで検査するなど診察はきちんと行うので、装着が向かない人にはその段階で説明しています。ただ、出産を経験されている女性の方が、一度子宮口が開いている分、入りやすく痛みを伴いにくいといったことは言えますね。血栓症のリスクから考えても、年齢的にピルの服用が制限される40代の女性には、向いている避妊法ではないでしょうか。実際当院の患者さんでも、40歳前後の方が多いですよ。

――先生のところへ来られるミレーナの利用者は、どのような使用目的の方が多いですか?

松村 避妊目的よりも、生理痛の緩和や経血量が多い過多月経など、生理のトラブルで相談に来られる方が多いです。

――そもそも、過多月経とはどれぐらいの経血量が当てはまるのでしょうか?

松村 医学的に説明すると、通常の1回の生理の総量が20~140mlとされているので、それ以上になると過多月経の疑いがあります。目安としては、出血量の多い日に昼用ナプキンが1時間持たないとか、1回の生理期間で使用するナプキンが1パック(約30個入り)だと足りないといった場合です。貧血を起こすくらいだと、多いといえますね。


――生理痛はどの程度ですか?

松村 痛みで動けなかったり、会社や学校を休むほど痛む、痛み止めが効かないといった、日常生活に支障をきたす程度です。仕事や勉強に支障があるほどだと、月経困難症に該当するので、一度病院で診てもらうといいかもしれません。

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