刑務所のティッシュペーパー価格はシャバの5倍! 元女囚が教える「差し入れ屋」事情
私も経験あるので、何回か書いてますが、ホンマに差し入れ屋のモノは高いです。ティッシュと下着類以外でも、たとえば缶詰はめっちゃ高いです。保存がきくせいか、フルーツから1万円くらいのカニまで、種類も豊富です。
まあカニはシャバでも高いし、「大親分のステイタス」的なもので、大親分にだけどっさり届く感じです。普通はあんまり関係ないですね。ミカンの缶詰は、2つで1,500円くらいしていました。たしかに100均で売っているものよりは大きめの高級品なのですが、1人で常温のまま食べるんですから、100均ので十分です。
食べきれなくても、誰かにあげたら懲罰です。大昔は「牢名主」みたいな存在が他の収容者の食べ物を取り上げていたので、それをさせないようにしているらしいです。今どき、苦手なものを同房者にあげるくらい、ええんちゃうかなと思うんですけどね。
このほか、ボールペンも100均で「3本100円」で売っているようなのが、1本300円くらいはします。ほとんどぼったくりです。
■安くするにはアレを
さて、なんでこんなに差し入れ屋のモノは高いのでしょうか? まあ獄中(なか)の事情が特殊であることは、ホンマです。
特に拘置所は、お金さえあれば好きな物を買えますから、同じ品物ならスーパーでもコンビニでも買ってもええはずですが、いろいろ獄中では「制約」があるのです。たとえば自殺防止のために、ジャージーのパンツ、パーカーについているヒモやネクタイは禁止ですし、冷蔵庫がないから、食べ物は常温で保管できるものだけです。こういう細かいことは「指定業者ならわかっている」というのは、たしかにそうかもしれません。
また、布団や座布団の中に脱走用のノコギリなどを隠すことのないように、「ちゃんとした指定業者から買わなアカン」いうのもわかります。でも、これって昔の話ですよね。服のヒモは取ればええし、今は金属探知機もあります。
「お菓子の袋にシャブを入れている可能性」を言うなら、空港の手荷物検査のアレ(X線スクリーニング)を置けばええですね。差し入れ屋にもうけさせるくらいなら、ぜんぜんアリと思います。荷物検査を機械化して持ち込みを厳しくすれば、業者も入札制にして安いところにできますよ。そしたらティッシュや下着など、安いものを自由に買えます。刑務官も減ってるんですから、この際、もっと機械に頼られてはいかがですか?
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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