ホストにハマる女は「まじめ」になる。引きこもり風俗嬢が出会った「ホスト・コミュニティ」
これはなにかに似ていないだろうか。そう、普通の人間と会社の関係そのものなのだ。ホストに毎日足を運ぶ彼女たちは、確かに会社組織にはうまく適応できなったかもしれない。やや抽象的な表現を弄するならば、会社というコミュニティのリズムに順応できなかったのだ。しかし、ホストというコミュニティに接続することには成功した。ホストが先か、風俗で働くのが先かは大した問題ではない。
ただし、ホスト・コミュニティが一般社会のコミュニティと決定的な違いが一つある。望めば即日参加できて、いつ去ってもいい。本名を名乗る必要もない。そんな参加と脱退のハードルの低さが、ホスト・コミュニティの魅力である。
だからこそ、普通のコミュニティに属するのはやや難易度が高いという女の子たちを受け入れたり、一時的にそこから切断された女の子たちのシェルターとなり得る。まさに、コミュニティのセーフティネットだ。よくわからないけど、カッコいいので、こういう表現にしてみた。
そこで女の子たちはリハビリする。ある人は一般社会に戻っていき、ある人はそのままホスト・コミュニティを終の棲家とする。もしかしたら、ホス狂いだけでなくホストたちもそうなのかもしれない。ユカの場合は前者だった。彼女は、風俗を辞め、再び昼の仕事を始めた。たまに思い出したように歌舞伎町へ遊びにくる、普通のOLになった。私はいまこうしてホストについて書いているように、後者の位置にいる。この原稿を書き終えたら、ホストクラブへ向かう予定だ。
歌舞伎町から靖国通りを挟んだ新宿通りがやたらと遠く感じるように、私にとってユカは、もはや違う国の住人になってしまった。どちらが幸せかどうか。なんてことを語るのは無粋というものだろう。
せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
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【バックナンバー】
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第2回:担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段
第3回:容姿や年齢より「使った金額」! ホス狂いたちが繰り広げる、担当ホストのエースをめぐる闘争
第4回:Twitterで「担当ホストの本命彼女」を暴露!! ホス狂い界隈を絶望させた“ある女の復讐劇”
第5回:ホストに月200万円使う女は、どんな接客を受けるのか? 究極の接客「本営」の実態