インタビュー

高橋一生も実践する「素手でのトイレ掃除」、医師が医療衛生面からの“危険度”を解説

2019/03/07 15:27
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 2月25日、高橋一生が『しゃべくり007』(日本テレビ系)で、「トイレを素手で掃除するというこだわり」を明かしてスタジオが悲鳴に包まれた。なんでも、祖母の影響から、雑巾などは一切使わずに直接手で汚れを取っているといい、彼にとっては当たり前のこととなっているようだ。

 「素手でのトイレ掃除」は、一般的に実践する人は少ないだろうが、企業や学校で実践している例を耳にすることがある。NPO法人「日本を美しくする会」の創唱者である、イエローハット創業者・鍵山秀三郎氏は、トイレを素手で掃除することは、「一番合理的に便器を磨きあげられる」と指摘するとともに、「心を磨くことである」と説いており、実践者たちも、心のありように影響を及ぼす行為だと考えているようだ。

 しかし、ここで気になるのは、心ではなく「体」に影響はないのかという点だ。日本医師会認定産業医/内科医・星野優先生にお話を聞いた。

自分の排泄物であっても危険

 星野先生は、そもそも日本では「トイレをきれいにすること」を推奨する傾向があるといい、そのこと自体は、医師の目から見ても「良いことである」と語る。

「昔から日本では、『八百万の神』に代表されるようなさまざまな信仰などがあり、『トイレにも神様がいる』といった話は、皆さんも聞いたことがあるかと思います。信仰とまではいかなくても、風水などでも、トイレをきれいに保つことが推奨されているのです。もちろん、衛生上、トイレだけでなく、水回りをきれいに保つことは、生活環境的にも、感染症などの予防にも良いことだと思われます」


 ただし、素手によるトイレ掃除には、「さまざまなリスクが隠れています」と警鐘を鳴らす。

「恐らく、みんながやりたがらないような一般的に『汚い』とされる作業を、手袋などをせずに、真心込めて素手で行うことで、精神的な負荷をかける……といった意味合いの行為だとは思いますが、汚物、特に便にはさまざまな菌やウイルスがいることは周知の事実です」

 星野先生いわく、「諸説ありますが、一般的に便には、300~500億個もの細菌が含まれており、病原性を持った種類もあるのです。また、冬に流行しやすい『ノロウイルス』や『ロタウイルス』などは、汚物・吐物から飛沫及び空気感染するとも言われており、感染症のリスクが非常に高いとも考えられます」とのこと。

 なお、他人ではなく自分の排泄物であれば問題ないようにも思うが、「お小水はともかくとして糞便は自分のものでも感染源として十分リスクがあると思われるため、基本的には手袋やマスクをして掃除を行うことが基本と言えます」と、あらためて素手でトイレ掃除の危険性を解説した。