“中学受験”に見る親と子の姿

ジャガー横田さんの夫も罹患!? 最難関N中合格の母が襲われた「中学受験ロス」の実態

2019/02/24 16:00
鳥居りんこ

受験生の母の喪失感は「通過儀礼」

 しかし、それから1年が過ぎた先月。再会した美紀さんは1年前とは打って変わって、とてもはつらつとした感じに見えた。 彼女はあることに気がついたという。

「私、あれから反省して、大地に“いつまでもしがみついていてはいけない”って思ったんです。それで、自分の道を歩もうって思って、専門学校に行き始めました。資格を取って、開業するのが夢なんです」

 大地君は優秀な生徒に囲まれて、成績的には真ん中あたりにいるらしいが、とにかく学校が楽しくて仕方ないといったところで、母の出番はまったくないそうだ。

 中学受験はある意味、最後の“親子の蜜月”である。これを通過した後は、否応なく、お互いが自立した存在になるべく徐々に距離が離れていく。親にとっては“子別れの儀式”とも言えるもので、その喪失感は通過儀礼なのだろう。きっと、一時的な「燃え尽き症候群」は「自立した親子関係」の初めの1頁なのだ。

 颯爽と歩き去った美紀さんの後ろ姿が印象的な街角であった。
(鳥居りんこ)


最終更新:2019/08/14 18:13