荒れた公立小に入学させたくない! 「越境入学」をめぐる、保護者と学校それぞれの不満
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
“越境入学”または“越境通学”という言葉を聞いたことがあるだろうか。学区外にある公立の学校へ入学/通学することで、かつては、家庭の事情などで転居しても、元々通学をしていた学校に通うケースなど、特殊な事例がほとんどだった。現在では、公立の小学校や中学校で越境入学を受け入れている自治体が増えているため、学校自体の教育方針や、私立中学への進学率などを考慮し、区や市を越えた越境入学/通学をしている児童も増えているという。
アルマーニの標準服で話題となった、中央区の泰明小学校も、条件を満たせば越境入学を受けて入れている。ほかにも、パイロット校と呼ばれる革新的な教育を受けられる公立の学校では、区や市を越えた越境入学を行う児童もいるそうだ。今回は、越境入学/通学にまつわるママたちの声をレポートする。
園ママから「学区の学校は荒れている」と言われ……
都内にある幼稚園に、5歳になる男児を通わせている真由美さん(仮名)は、来年、小学校に入学予定の息子を越境入学させようか悩んでいる。
「園バスに乗って登園するような遠くの幼稚園に通っているため、自宅近辺のママ友が少ないんです。そのため、親しいママ友は全て園で知り合ったママさんだけ。うちの幼稚園では、保育時間のほかに、英語教室や体操教室、年長になると小学校受験のためのクラスなども用意されていて、最初は、うちの息子も、『仲が良い子がいる』という理由で、受験クラスに参加させてみたんです」
真由美さんは専業主婦のため、私立小学校に通わせられるような余裕はない。しかし、周りのママさんたちが口々に「公立の小学校は授業が成り立たず荒れている」「タトゥーが入った保護者や、役員をしたがらない保護者などがいて問題を起こすらしい」「うちの園の家庭と格差が激しい」と言っていることで、心配になったという。
「私と夫は地方出身のため、土地勘がないんです。地元出身のママたちから聞いた評判だと、息子が通う予定の小学校は担任の入れ替わりが激しいそう。うちは国立小学校だけ受験しますが、もしも落ちた場合でも、越境入学で同じ園の児童たちが入る予定の小学校へ、越境入学を検討しています」
越境入学が受け入れられる時代になったとはいえ、受け入れ先の自治体によって条件を満たさなければ入学が認められないケースも多い。親戚や祖父母が越境したい学区に住んでいる場合は、住所を借りて形だけ移住をして、通学させるケースもあるという。