【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

公園より「児童館デビュー」の時代? 「馴染めないと行き場なくなる」と悩める乳幼児ママ

2018/12/19 14:10
Photo by Tzuhsun Hsu from Flickr

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 日中でも、コートなしでは寒さが厳しい冬に突入し、乳幼児を持つ親にとっては、「長時間の公園遊びができない」のが目下の悩みになっているようだ。そんな時に、子連れでの外出先として、公園に代わって利用されているのが、乳幼児の遊べる遊具などを揃えた児童館だ。

 子どもが生まれるまでは、足を踏み入れる機会がほとんどない児童館という閉鎖的空間。つい先日も、熊田曜子が区の児童館に子どもを3人連れていき、入館拒否されたという話題が世間を騒がせたばかりだ。今回は、児童館で起こった出来事に苦悩するママたちの声をレポートする。

 最近では、公園デビューという言葉よりも児童館デビューの方が、育児雑誌やネットでも目にする機会が増えている。産後2カ月くらいのタイミングで、子どもの発育具合や虐待の心配などがないか確認するために、子育てアドバイザーが自宅に訪問をする母子訪問(新生児訪問)という制度があるが、この際、その地域にある支援センターと呼ばれる施設や児童館に乳児を連れて行くのを勧められるケースもあるという。都心部の公園では、ケガなどを防ぐために遊具が使用できないようになっていたり、マナーが良くない大人たちがベンチなどを占拠していることもあり、児童館のニーズが高まっていると言える。

 2歳になる娘を育てている専業主婦の薫さん(仮名)は、子どもが1歳頃に、児童館を利用していた。


「子どもが生まれてから、ずっと在宅で育児をしていました。実家も遠いし、出産前に引っ越したこともあって、周りに知り合いがいない状況だったんです。母子訪問に来た子育てアドバイザーが育児相談員として児童館にいるという日に、児童館デビューしました。その日は、ベビーマッサージ教室で、無料ともあって大広間の和室はギュウギュウ。私は端の方に押しやられて、ほとんど立っているのに近い状態で、娘だけタオルに寝かせてマッサージしました」

 インストラクターの様子も見づらい場所から、ベビーマッサージを行ったという薫さん。児童館の職員が子どもの様子を見に来たとき、心ない言葉を掛けられたという。

「その職員の女性は、私の母親くらいの年代の女性でした。娘をマッサージしても、あまり反応がないのが気になったみたいで、『どうしたのかしら』『あなたが子どもにいつも笑いかけていないからじゃないの?』など、次々と娘がおかしいというような言い方をされたんです」

 彼女はこのことがきっかけで、自分の育児が良くないのではないのかと落ち込むようになり、心療内科を受診した。振り返ると、周りに育児を相談できる相手がいなかったので、児童館の職員に言われたことを全て信じ切っていたという。児童館で行われた歯科アドバイスでは、乳児用りんごジュースやスポーツ飲料を与えていることを職員から注意され、離乳食が進まない時にジュースを与えるか悩んだこともあったそうだ。

「子どもの育児がひと段落した職員が多くて、昔の育て方を強いられて苦痛でした。もっといろいろな年代のアドバイザーや立場の人が、相談に乗ってくれるようになってほしいです」


児童館・学童保育と居場所づくり―子どもの生活に躍動と癒しの拠点を (21世紀の児童館・学童保育)