コラム
知られざる女子刑務所ライフ56
ホリエモンがいた長野刑務所に「介護スタッフ」――元女囚が考えるムショの高齢化問題
2019/01/13 16:00
思えば女子刑務所のおばあちゃんたちは、ある意味優雅でした。ムショというのはホンマ不思議なところで、裁判書類とかがクリップで留められていると、「指定外の文具やから没収!」ってなるのに、なぜかシルバーカートは「アリ」でした。あの「お年寄りがガラガラ押して、時々座るアレ」です。
朝ごはんを食べ終わって工場に移動する時に、5〜6人のおばあちゃんたちがみんなでカートを押していく行列は、なかなかシュールです。工場までイッキにたどり着けなくて、時々座って休んでますしね。行列を見てると、なんかドラマの『大奥』を思い出します。あと、行ったことないんですが、「おばあちゃんの原宿」もこんな感じかなと。
お年寄りは、お掃除や刑務作業はほとんど免除されてました。晴れた日は、みんなで中庭に座ってひなたぼっこしながら「今日はあったかいねえ」なんてのんびり話していました。こうなると、もうみんな出所したくないんですね。出ても行くところがないし、もちろんお金も仕事もないし、家族もいてないから。
「ここ(ムショ)なら友だちもいてるし、センセイ(刑務官)もやさしいから」
こう真顔で言うおばあちゃんには、何も言えません。
まあお風呂にロクに入れず、夏は臭くて、真冬はシャンプーして髪が凍っても平気な人なら、ムショも「住めば都」ですよ。三食ついてますしね。私はもうイヤですが。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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最終更新:2022/10/14 17:49