コラム
知られざる女子刑務所ライフ56 

ホリエモンがいた長野刑務所に「介護スタッフ」――元女囚が考えるムショの高齢化問題 

2019/01/13 16:00

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■長野刑務所が介護専門スタッフを採用

 皆様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

 新年早々ですが、あのホリエモン(堀江貴文氏)が勤めていた長野刑務所(須坂市、男子刑務所)で介護専門スタッフが採用されたというニュースが暮れに出ていたので、ムショの介護問題を考えてみたいと思います。

 長野刑務所は、めっちゃ寒いのですが、夏にはプール遊びもあって、「わりと過ごしやすい施設」として知られています。とはいえリアルヤクザもいますから、初犯で微罪のホリエモンが行くようなところではないです。よっぽど検察を怒らせたんですねー。普通なら栃木の喜連川(きつれがわ)とか、もうなくなるけど黒羽とかですよ。黒羽は政治家さんやお役人さんも務めた「名所」です。

■ホリエモンも獄中で高齢受刑者の介護

 さて本題。懲役(受刑者)の高齢化は、前から問題になっています。ホリエモンも獄中(なか)では高齢の懲役の介護をしていたそうですね。介護は懲役の中でもエリートの作業です。私もムショでは同房のおばあちゃんのお世話をけっこうさせてもろてたんで、懐かしいです。

 長野刑務所の懲役891人のうち70歳以上が6.5%やそうで、「認知症とみられる症状がある」人が11人いてるそうです。房内を長時間歩き回ったり、物忘れがひどかったりするそうで、「それは、もうすでに認知症では?」と思いますが、どうでしょうね。でも、今回雇った介護担当は1人で、週に3日勤務の非常勤やそうです。ニュースにするほどのことはなかったですよね。これでは11人も面倒見られませんから、やっぱり基本的には懲役がお世話するしかありません。

 「刑務作業」の一環として介護をするならええんですが、布団の上げ下げや、下着や靴下の洗濯を手伝ってあげるのは、100%ボランティアです。毎日やからけっこうタイヘンですが、私がいた施設ではみんな手伝ってあげてましたよ。

 これからは、認知症や寝たきりの懲役はもっと増えるでしょうから、もうボランティアでは対応しきれへんでしょうね。やっぱり布団の上げ下げや洗濯も含めた「介護工場」(機械がなくても「工場」といいます)にして、ヘルパーとかの介護の資格が取れるようにしたら、出所後も役に立つと思いますよ。

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