絵本/児童書の“萌え絵”論争はなぜ白熱する? 「萌え絵」「マンガ絵」のボーダーを考える
「絵本/児童書に“萌え絵”を使用するのは是か非か」――そんな論争が、ネット上で巻き起こって久しい。「人に萌えを感じさせる絵」を意味するという萌え絵は、人に性的なイメージを連想させるケースもあるだけに、「子ども向けの本にはふさわしくない」とする意見が出ているのだ。しかしその一方で、「『萌え絵』として問題視されている絵は、子どもに好かれそうな少女マンガ絵ではないか?」「萌え絵とマンガ絵の違いを把握できていない人がいる」といった指摘も。
そんな中、絵本/児童書の萌え絵論争において、例に挙げられることが多い「せかいめいさくアニメえほん」シリーズを出版する河出書房新社が11月、公式Twitterに見解を発表。「絵本萌え絵論争が囂しいですが、弊社の『せかいめいさくアニメえほん』は作家さんたちに『萌え絵を描いてください』とお願いしたものではなく『子ども自身が飛びつく絵を』という発注のため『なぜ萌え絵にしたのか』としきりと質問され困惑、担当者も何度説明しても理解してもらえず苦慮しています」とつづり、「そもそも萌え絵ではない」ことを断言したのだ。
では、「萌え絵」と「少女マンガ絵」もしくは「子どもが飛びつく絵」には、具体的にどのような違いがあるのだろうか。河出書房新社に問い合わせを行ったところ、残念ながら「回答しかねる」との返事だったが、この違いを明確にすることにより、最近の「絵本/児童書」に対する見方が変わる人もいるかもしれない。そこで今回、京都精華大学マンガ学部マンガ学科キャラクターデザインコースで教鞭を振るう、ときまつさなえ氏に取材を行った。小学館「ちゃお」、講談社「なかよし」、芳文社「まんがタイムファミリー」等でのマンガ連載のほか、東京書籍「小学生理科」教科書のイラスト、絵本『いたずらさるの子』などの絵を担当している、ときまつ氏の目に、萌え絵はどう映るのだろうか。