田中みな実、いとうあさこへのホロ酔いキスに見る「自信ない」「病み」発言の欺瞞
「言葉を真に受けてはいけない」
これはテレビの世界にも、あてはまるのではないかと思う。バラエティ番組に出るとき、出演者はキャラを背負って登場し、そのキャラにふさわしい発言をして、好感度を上げていく。その際の意外な盲点とは、番組内での行動ではないだろうか。
発言と番組内での行動に違いがあるのが、フリーアナウンサー・田中みな実である。『ボクらの時代』(フジテレビ系)で、オアシズ・大久保佳代子、いとうあさことワインを飲みながら鼎談した。
「時々、朝起きると涙が止まらなくなることがある」と病んでる感を押し出した後、番組の共演者について「みなさん、面白いエピソードがあるのに、私はたいしたことがしゃべれない。エピソードがない」と結んだ。うじうじした自信のない美人というのは、男性には人気があるだろうし、何かと悩み多き若い女性にとっても、「こんなに恵まれている人も、自信がないんだ! 私も頑張ろう!」と励ましになるかもしれない。が、行動から判断すると「この人、本当に自信がないの?」と思わされる。
収録が終わり、大久保さんが去った後、まだセットの中に残るいとうと田中の様子を、カメラがとらえていた。ホロ酔いの田中は、いとうの顔に自分の頬をすりつけ、頬にキスをしたのだ。年上で、さほど親しいとも言えない先輩の体に触れたり、キスをするのは、「自分は嫌がられない存在である」という一種の自信から生まれているものではないか。また、いとうに「オトコにもやるだろう」と言われた田中は「やらない、やらない」と言いながら、いとうと腕を組んでいたが、その昔『ダウンタウンなう』(同)で、坂上忍に「収録後、みんなでちゃんぽん食べましょうと言いながら、腕をからめてくる。おっぱいが当たる」と暴露されていたこともある。番組によって発言やキャラは変わっても、行動は大して変わらないようだ。
あのタレントがテレビでこう言った、けしからんと炎上する時代だが、タレントはお金をもらっている立場上、“言わされている”可能性がないとは言い切れないし、目立つためにあえて言っているケースもあるだろう。テレビでは発言に目が行きがちだが、本心というものは、行動に隠されていると見ていいのかもしれない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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