仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

平野ノラ、ポンコツ夫エピソードに考える「選んだのは自分」という結婚自己責任論の是非

2018/12/13 21:00
平野ノラオフィシャルブログより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「そういう相手を選んだのは、ノラちゃんでしょ?」HKT48・指原莉乃
『ピンポイント業界史』(テレビ朝日系 12月2日)

 『ピンポイント業界史』(テレビ朝日系)は、芸能人がこれまで炎上を恐れて封印していたエピソードを披露し、スタジオ内の観客(一般人)の共感が得られれば、賞金がもらえるという番組である。12月2日放送回に出演したお笑い芸人・平野ノラは、「本気で成田離婚を考えた」という新婚の夫のポンコツぶり披露した。

 新婚旅行で人生初ハワイに出かけることにしたノラ夫妻。しかし、夫はハワイに関する計画を立てることに熱心でなく、人気アトラクションを予約してほしいと3カ月前から頼んでいたにもかかわらず、動こうとしなかった(その結果、予約は取れなかった)。ハワイで宿泊したホテルはセルフサービスが基本で、タオルなども自分で用意するタイプだったというが、夫はバスマットを持ってきたという具合だ。

 「そういう人、知ってる」と思いながら私は見ていたが、ノラの思いに共感する人は少なく(20人中7人)、賞金獲得にはならなかった。夫婦ネタは友人間でも共感の仕方が難しいので、仕方がないのかもしれない。「夫がひどい」と訴える妻に乗っかって、相手を責めることは簡単だが、そうは言ってもよそ様のパートナーを責めるのはよろしくないだろう。また、一緒になって悪く言っていると、なぜかこちらだけが悪者にされるということも、よくある話だ。


 しかし、共感が得にくい最大の理由は、HKT48・指原莉乃の「そういう相手を選んだのは、ノラちゃんでしょ?」という発言にあるように、「自分で選んでおいて、文句を言うな」という自己責任論が根付いているからではないだろうか。“夫がポンコツ”ネタは、女友達の間でも共感の仕方が難しいとしたが、共感というより、「そんな結婚は失敗だ」とか「そういう夫を選ばないようにしなくては」とか、自己責任にもとづいた教訓としてシェアされることもある。

 ノラも自己責任的な価値感を内包しているようで、「夫を育てます」と発言していたが、夫がポンコツなのは、本当にそういう人を選んだ妻に責任があるのだろうか? 

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