「子宮系女子」ビジネスはなぜ儲かる? スピリチュアル・自己啓発分野のマーケティングから考察
子宮メソッドが儲かるのは、引き寄せやスピリチュアルが好きな層の“痒いところに手が届いた”からという面もありそうだ。はる氏がブログ等に掲載している、講演会の写真を見ていると、「正確なところはわからないものの……従来の引き寄せ、スピリチュアルを好む30代後半から、40~50代の年齢層とそこまで違わないのでは。もしかしたら子宮メソッドのユーザーの方が、ちょっと若いかもしれませんが」という印象だという。
「子宮メソッドにハマる人は、ほかの引き寄せやスピリチュアルと同様に、真面目で向上心が強い一方、自分にあまり自信がない方だと思います。現状の自分や環境にほぼ100%満足している人や、自信が強い人は、こういったものの必要がないので、あまり関心を示しませんが、真面目で自分にあまり自信のない方は、不安な状況に直面した際など、自分や現状を変えなきゃ、となるわけです。『そのままの自分でいい』という教えは、ともすると、真面目じゃない人に合っていると思われるかもしれませんが、『そのままの自分でいい』と、『自分を変えなければいけない』というのは、融合している部分があるんです。子宮メソッドの根幹にある引き寄せには、『あなたが自分のことを腐しているから、外側で悪いことが起こる』『本来の自分はもっとキラキラ輝いている』という前提があると思うんです。その“本来の自分”を発掘していくために、いらない思い込みを外していく作業をするのですが、それに取り組もうとするのは、やはり真面目で、『自分なんて』などと思っている自己否定モードにある方なのだろうと思いますね。あと、自分に自信がある/ないにかかわらず、未知の不思議なものが大好きな方が、子宮メソッドに興味を示したということもあるでしょう」
そんな悩める女性たちから崇められていたはる氏だが、実は今年の12月20日をもっての引退を表明している。今後は「八木さや」名義で、「楽園をつくる」ことを目標に掲げ、ガーデニングや家庭菜園などについて発信していくという。
「はるさんは自分の子宮の声を聞いて、新たな道を進むことを決めたのかもしれませんね。これから、子宮メソッドはどうなるのかですが、似たようなことをおっしゃる人は出てくるかもしれません。ただ、男性が『子宮』を打ち出すのは違和感がありますし、女性でも、ちょっとどうなのかなぁと思いますね。子宮メソッドが支持された背景には、はるさんのバックグラウンドも影響しているのではないでしょうか。彼女はかつて風俗嬢で、かつ子宮頸がんや中絶などを経験し、それにより、精神世界への関心を抱いて、子宮の声が聞こえだしたと書いておられます。そんなはるさんだからこその子宮メソッドなわけです」
はる氏に代わる人物の登場を期待するというより、「むしろ、物販などを発展させる方向に行くかもしれませんね」と有元氏。
「はるさんの子宮メソッドは、体/女性の神秘/引き寄せ/スピリチュアルの架け橋になりましたし、情報発信が減ればその分、目立たなくはなっていくものの、世の中には残るのではないでしょうか。はるさんが、どこまで計算していたかはわかりませんが、子宮メソッドは、ビジネスとしてとても完成されていると思います」
支持者だけでなく、アンチをも巻き込み、話題を振りまいた“子宮メソッド”。はる氏引退に伴い、子宮系女子たちが今後どこへ向かうのかも、観察していきたい。
有元裕美子(ありもと・ゆみこ)
健康/スピリチュアル・ビジネス・コンサルタント。長年、健康及びスピリチュアル分野等の研究・コンサルティング等に従事。国委託案件のプロジェクト・マネージメントも手がける。2015年12月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングを退社し独立。著書に『スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実』(東洋経済新報社)『「肥満解消」マーケティング』(日本経済新聞出版社、共著)などがある。
取材協力:ルネッサンス・アイズ