高橋真麻の「世の中は二世に厳しい」発言に考える、芸能人の子どもが道を踏み外すワケ
そうなると、親と同じ道を選ぶ者も多くなるだろうが、芸能界の怖いところは、親の力でデビューはできても、売れることはできない点である。例えば、自営の会社の場合、子どものデキが多少アレでも、子どもの周りに優秀なスタッフをつけることで、会社を維持、ひいては生活レベルを保つことができる。しかし、芸能人の場合、カメラの前でいいパフォーマンスをしないと、仕事は来ない。親は仕事を取ってくるまではできても、カメラの前では誰も助けられないのが、芸能という仕事の怖いところではないだろうか。
仕事で実績を残さないことは、もらえる給料が少ないことを意味するが、生活レベルというのは、上げるのは簡単でも下げるのは大変だ。金銭感覚はスター並みの二世でも、スターのように仕事はこない。人気商売は甘くないので、商業的価値や実績がなければ仕事は来ない。となると、子どもに仕事をさせるため、ひいては一人前にさせるため、三田が抱き合わせでVシネマに出演するのも仕方がないだろう。
また、悪い人にとって、有名人やその子弟は絶好のカモである。元巨人軍の清原和博氏が覚せい剤取締法違反で逮捕された時、相場の何倍もの金額で覚せい剤を購入していたと週刊誌で読んだが、金払いが良く、いざとなったら脅すこともできる有名人やその子どもは、金づるとして悪い人のターゲットになりやすいのではないか。本人が覚せい剤をやめたいと思っても、悪い人があの手この手で近づいて、顧客にしようと企んでいる可能性は十分あるだろう。
有名人の子どもであるメリットは、親によって豊かな生活をさせてもらうこと。しかし逆に言うと、親と同等以上に稼げないと生活レベルが落ちて金銭トラブルを起こしたり、親がいなくなったら生きていけなくなるというリスクを背負っているのではないだろうか。
冒頭の真麻に話を戻そう。真麻は問題を起こすこともなく、フリーのアナウンサーとしても順調に仕事を増やすなど、成功した二世の代表格と言えるだろう。
が、その売り方は彼女の想像していたものと違うのではないか。例えば、真麻が出演した際の『5時に夢中!』の生投票のテーマは「人に顔で判断されたことはありますか?」で、なぜ真麻が出演する時にこれを選ぶのだろうか。真麻は、「入社した時にブスと言われた」とコメントしていたが、ブスが“美女職”の代名詞・女子アナになれるのは、そこに大きな権力、例えば有名俳優である父親のプッシュがあったのかもしれないと、視聴者に邪推されるわけだ。真麻がテレビの仕事を始めてから14年の年月がたっているのに、いまだにコネ疑惑をうっすらあてこすられる。真麻の言う通り、世の中は、案外二世に厳しいのかもしれない。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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