コラム
仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

高橋真麻の「世の中は二世に厳しい」発言に考える、芸能人の子どもが道を踏み外すワケ

2018/09/20 21:00
高橋真麻 公式ブログより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「世の中の方が、二世に厳しかったりするから」高橋真麻
『5時に夢中!』(TOKYO MX、9月13日)

 9月13日放送の『5時に夢中!』(TOKYO MX)に、代打MCとして出演した高橋真麻が、「世の中は、二世に厳しい」と発言していたが、視聴者である一般人はどう受け止めたのだろうか。単なる主観だが、恐らく視聴者は「世の中は、二世に甘い」と思っているのではないだろうか。

 というのも、有名人を親に持てば、子どもの頃から経済的に不自由しないだろうし、芸能界デビューも一般人に比べれば、比較的簡単だろう。デビューした後も、コネのない新人は仕事をつかむのに苦労をするが、二世は親と抱き合わせで仕事がもらえる。金銭的にも人脈的にも明らかに一般人より恵まれている気がするのだ。しかし、長い目で見ると、有名人の子どもは“しんどい”存在と言えるのではないだろうか。

 女優・三田佳子の次男が、覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕された。次男の覚せい剤歴は長く、最初の逮捕は1998年、当時高校生で未成年だったため、保護観察処分が下された。次の逮捕は、2年後の2000年、三田の稽古部屋とされる自宅地下室で、数人の仲間と覚せい剤パーティーを行っていたことが発覚し、逮捕。初回、2回目とも三田は責任を取る形で、CMを降板、女優業を自粛している。3回目の逮捕は07年、薬物治療専門の施設に入ったが、依存症は克服できず、18年9月に4回目の逮捕をされたということになる。

 この一連の事件では、母親、息子両方の“甘さ”が叩かれた。三田が小遣いをやりすぎるから犯罪行為に走る、次男は考えが甘くてどうしようもないと言われたようだ。『バイキング』(フジテレビ系)は、次男の高級マンションの家賃について、また、アイドルとの飲み会を行い、参加した若い女性にお車代として3万円あげていたなどと伝え、“ほぼ仕事をしていない次男のカネの出どころはどこか?”と、暗に三田を批判。また、三田を気の毒に思った劇作家・唐十郎が自身の劇団に次男を迎えたが逃げ出してしまったこと、Vシネマの主演を務めたことがあるが、そこには三田も出演していたこと(つまり、三田が出てもらう代わりに、次男を主役にした)、飲食業界で働いた経験もないのにレストランのオーナーになりたいと語っていたことなど、次男の甘さやダメさを指摘していた。

 しかし、確かに三田も息子もダメダメだが、芸能人とその子どもって案外そんなものかもしれないと思うのだ。

 女優・坂口良子さんの娘でタレントの坂口杏里がAVデビューした理由について、かつて「週刊新潮」(新潮社)が、「ホストクラブにはまり、遺産を全部使いきってしまったがまだ足りなかったから」と報じたことがある。

 同記事によると、学生時代の友達が杏里の家に遊びに行ったところ、良子さんが「これでピザでも食べなさい」と10万円ほどを杏里に渡していたという。一般的な感覚では、子ども同士の軽食に10万円は高いだろうが、金銭感覚は家庭によって違うので、他人がとやかく言えることではない。しかし、友達が遊びに来ると10万円もらう経験をして育った子どもが、初任給20万円程度の会社員となって、1カ月をそれで過ごせと言われたら、無理ではないだろうか。となると、スターの子どもは、実は職業選択の幅が限られているように感じるのだ。

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