【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「体調不良の子を預ける親」はモンペか? 保育士の苦労と、「仕事失う」と震えるワーママの本音

2018/09/19 14:00

無理やり置いていこうとするママに困惑

 厚生労働省のガイドラインに基づき、一般的には園児の体温が37.5度を越えたら、保育園から保護者にお迎えに来るように連絡が入る。ドラマ化もされた漫画『37.5℃の涙』(小学館)では、37.5度を超える高熱の子や、病気で通常の保育園に登園できない園児を預かる病理保育士が描かれているが、実際問題として、病理保育士がいる園もまだ少なく、当日、急な利用ができないケースも多い。そのため、病理保育士がいない保育園でも、体調不良の園児たちの保育を担っていると言える。

 保育士になって12年になる玲子さん(仮名)は、「以前より、体調不良とわかりながらも預けていく親が多い」と困っている。

「うちは若いファミリー層に人気のエリアにある保育園なのですが、両親がどうしても仕事を抜けられなかったり、近隣に親類がいないために、代わりの迎えを頼めない親が増えているみたいです。困るのが、毎朝の検温を書く連絡帳には、37.3度のようなぎりぎりの体温が書いてあるのに、実際に検温すると37.5度を超えているケース。そういうママさんは、慌ただしく預けていくので、結局、お昼頃までの数時間はこちらで預かることになるんです」

 夏からの季節の変わり目であるこの時期は、体調不良になる園児が後を絶たない。

「先週は、クラスの半分の園児が体調不良で早迎え(通常保育の時間より前に迎えに行くこと)になりました。電話をしてもすぐ迎えに来てくれる親ならいいのですが、結局、通常保育の時間まで迎えに来ない親もいます。そういう親は、朝の検温の時点で、子どもに異変があるケースが多いので、最近は預かる前に、親の前で検温をしています。『家で測ってきた』『朝は時間がない』など文句を言ってくる親もいるのですが、園長先生に来てもらって事情を説明し、目の前で検温しています」


 ある保護者の女性は、38度の体温の息子を「会議があるので、とりあえず今日だけはお願いします」と、無理やり置いていこうとしたという。

「正直、病気の子がいると特に気を付けなくてはならず、保育士の人数にも限界があります。RSウイルスなどほかの園児にも感染する危険があるので、体調不良ならきちんと休んでもらいたいんです。0歳児などは熱けいれんを起こしたり、命の危険にも関わるのに『うちの子は大丈夫』って考えているママさんも多いみたいです」

はたらきママとほいくえんちゃん