「体調不良の子を預ける親」はモンペか? 保育士の苦労と、「仕事失う」と震えるワーママの本音
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
子どもを持ちながら働くワーママにとって、第一の壁が保活と考えるなら、第二の壁とも言えるのは、入園後の“保育園からの呼び出し”ではないだろうか。ひとたび、園から呼び出しの電話がかかって来れば、すぐに早退し迎えに行かねばならない。それまで、仕事に邁進していた働き盛りの女性にとって、自分の意思とは関係なく、早退や欠勤をしなければならない事態は精神的な疲弊も伴う。
人気絵本作家・のぶみが作詞した「あたしおかあさんだから」が、子育て中のママたちを中心として炎上したのは記憶に新しいが、最新作となる絵本『はたらきママとほいくえんちゃん』(WAVE出版)の内容もまた、発売前から、ネット上で作者が非難を浴びている。現在、のぶみのインスタグラムで先行公開されている内容によると、接客業をしているママの元に、保育園から子どもが熱を出し迎えに来るよう“お呼び出し”電話がかかる。しかし、混雑時のピークのためすぐに仕事は抜けられず、ママとしての罪悪感と、仕事の責任感の間で苦悩する姿が描かれているようだ。一体、この園からの“お呼び出し”は、ママたちにとってどれほどの脅威なのか?
小規模の認証保育園に1歳6カ月になる息子を通わせている智恵さん(仮名)は、こう語る。
「9月に入ってから、息子が体調を崩しやすくて、まともに1週間登園できていないんです。うちの子は、中耳炎から高熱を出すパターンが多く、せっかく登園しても、お昼前に39度近い熱が出て、保育園から迎えに来てほしいという連絡が来ます。埼玉から都心にある職場まで通勤して、出社後2時間で退社せねばならないことも……。『あなたには責任のある仕事は任せられない』と上司からも言われ、毎日、保育園から電話が来たらどうしようと思うと胃が痛くなっています」
彼女は、有名私大の経済学部を卒業後、シンクタンクと呼ばれる研究機関に調査員として就職。男性と同様に全国区の転勤も可能な総合職として入社したが、結婚を機に本社勤務の内勤事務に雇用形態を変更した。
「本当は、出産してからも調査員の仕事を続けたかったのですが、周りを見てみると育児をしながら調査員をしている女性社員がほとんどいなかったんです。事務の仕事はどんどん派遣に切り替わっているので、子どもの体調不良で欠勤・早退を繰り返していたら、クビになるのではと不安は尽きません」と、肩を落とす。