テレビマンの怠慢、と一喝

梅沢富美男、葵わかな、丸山桂里奈……「その話、何回目?」“コスリすぎ”エピソード

2018/08/18 16:00
1608umezawablog
梅沢富美男公式ブログより

 初恋、下積み、デビュー秘話、年収・月収、好みのタイプ……連日テレビで交わされる芸能人のエピソードトーク。そのたびに共感を集めたり、賛否を呼ぶが、その中には「それ、前にも聞いたよ」と言いたくなるものもある。

 例えば美容家のIKKOが、8月12日放送の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出演。人差し指を左右に振る「どんだけ~」ポーズ、さらには「まぼろし~」のフレーズ誕生秘話を明かしていた。

「もともと新宿2丁目界隈ではやっていた『どんだけ~』という言葉ですが、IKKOが『ダウンタウンDX』(同)で話題を振られたとき、緊張して手が震え、人差し指を左右に揺らしてしまったとすでに明かしています。また『まぼろし~』は、背中が大きく開いたドレス姿に明石家さんまから『背中デケえな』と言われ、なぜか『まぼろし~』と返したと語っていました」(芸能ライター)

 だが、この“どんだけ~”誕生秘話は過去に何度もいろんな番組で取り上げられたことがある。

「最近でも昨年9月2日の『サワコの朝』(TBS系)、今年1月23日にオンエアされた『チマタの噺』(テレビ東京系)、さらに先月7月1日には、フリーアナ南美希子のラジオ番組『ENTERTAINMENT NEXT!』(ニッポン放送)でも同じことを話していました」(同)


 当然、上記の番組を見聞きしていない人からすれば新鮮に聞こえるエピソードだが、「どんだけ~」がはやってから10年以上も経過した18年現在、「またあの話?」と思う視聴者も中にはいることだろう。ほかにも、このようなエピソードは数多存在する。

「まずは、元なでしこジャパン丸山桂里奈の『オフサイドのルールを知らなかった』というもの。このオフサイド話は『8股』をかけられていたエピソードと双璧をなすほど頻出しています。ほかにも芸人でいえば、ガンバレルーヤよしこの『肌のブツブツがひどい』話、尼神インター誠子の、双子の美人妹の話などは、もはやコスりすぎて“ネタ化”してるように思えます」(放送作家)

 また昨年、大ブレークを果たし、ついには冠番組『梅沢富美男のズバッと聞きます!』(フジテレビ系)を持るまでになった梅沢富美男の浮気話はどうだろうか。

「ゴルフ場へ行って来ると嘘をついて、東京・青山の女性宅で過ごし、帰宅後、その居場所をGPSで把握していた妻から『ゴルフ場って青山3丁目にあるんだね』と言われた話、さらに愛人と旅行に行ったものの、飛行機が台風で飛ばず、空港に足止めされていたところを偶然、台風中継のカメラに撮られていたという話。いずれもテレビで何度も披露されているエピソードです。梅沢のほかにも、アンミカの元カレがスパイだった話、浅田真央と浅田舞が昔はかなり仲が悪かった話なども、飽き飽きしている視聴者がほとんどでは」(同)

 女優の葵わかなは、NHK連続テレビ小説『わろてんか』後、初の主演映画となる『青夏 きみに恋した30日』のPRのため、ここ最近、積極的にバラエティに登場。『痛快TVスカッとジャパン』『ダウンタウンなう』(いずれもフジテレビ系)『メレンゲの気持ち』『しゃべくり007』(いずれも日本テレビ系)など、出演する番組でことごとく話していたのは「芸能界入りのきっかけ」。小学校時代、クイズ番組のピンポンを押してみたいと母に言ったら、「じゃあオーディション受けてみようか」と薦められたという話だ。


 しかし、どうしてこのような“コスリすぎ”現象が起きるのだろうか?

「タレントと打ち合わせする際、下調べとして過去のテレビ番組の映像や、トーク番組の書き起こし記事を見ることも多い。こうした経緯から『じゃあ、その話、こっちでも話してもらおうか』という、安直な考えに至ってしまうのです。これはテレビマンの怠慢でしかありません」(業界関係者)

 もちろん、明石家さんまが話す離婚話などタレント自ら切り出すパターンもあるが、大体は制作側から頼まれて話すことが多いだろう。できることなら新しい話を引き出す努力をしてもらいたいところだが、そんなに難しいことなのだろうか?
(村上春虎)

最終更新:2018/08/18 16:00
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ほかと同じことやって、なにが面白いの?