インタビュー

ジャニーズも実施した「コンプライアンス講習」の実態――講師が「暴力団と女対策」の内容を暴露

2018/08/04 19:00
bartokyo
Photo by ayako from Flickr

 今年6月、ジャニーズ事務所が、タレント全員参加必須の「コンプライアンス講習会」を実施したことがニュースとなった。5月に、元TOKIO・山口達也が女子高生への強制わいせつ容疑で書類送検され(不起訴)、事務所を契約解除となったことを受けての実施とされるが、こういった講習会は、昨今、ほかの芸能プロダクションやプロアスリートを抱える団体などでも数多く実施されているという。

 山口の事件然り、有名人は不祥事を起こしてマスコミを賑わせるたびに、世間から「脇が甘すぎる」「自覚がない」などと叱責されるのが常で、コンプライアンス講習会では、“身を滅ぼさないため、何に気をつけるべきか?”を学ぶ。しかし、ここで気になるのが、有名人たちは、具体的にどんなことを教わっているのか、だ。今回、実際に有名人向けに講習を行い、芸能プロ幹部やタレント、アスリート等から個別に相談も受けているという講師に、匿名を条件にその詳細を語ってもらった。

暴力団員と半グレは笑顔でやって来る

 そもそも「コンプライアンス」は「法令や社会的規範を遵守すること」という意味を持つ言葉だ。ゆえに、一口に「コンプライアンス講習」といっても、法律や情報管理について、またメディアでの発言やSNSの投稿内容に関する注意点なども教えるが、講師のX氏は、“暴力団と女性問題対策”についての講習を担っているとのこと。リスクマネジメント(不祥事が起こる前の対策)とクライシスマネジメント(不祥事が起こった後の対処)どちらも教えているというが、今回は前者に焦点を当て、話を聞いた。

「暴力団や半グレが有名人に近づくのは、友達になることで虚栄心を満たしたいからという理由もありますが、付き合いがあることを元に脅迫して金銭を要求したり、詐欺まがいのビジネスに巻き込む目的もあります。そうならないためにどうすべきかを、私は有名人の方々に教えているんです。こうしたトラブル全てに絡んでくるのが“酒”。だいたい酒の場で、有名人に近づいてくるものなのです。ただその際、『僕は暴力団で~す!』なんて明るく近づいてくる奴はまずいませんし、昔の暴力団員は胸にバッジをつけていたこともありますが、今は見た目だけではわかりません。講習会では、『悪魔は笑顔でやって来る』という標語を用いて、説明しています」

 しかし、暴力団員と見抜けなくても、プライベートで飲んでいる時に突然声をかけられれば、 “もしかしたら危ない人物かも”と警戒できるような気もするが……。


「厄介なのは、友達の“友達”として紹介されるケース。同級生や昔からの友達に紹介された人を、無下に扱うのは申し訳ないと思うかもしれませんが、『友達の友達は他人』だと思って、警戒すべきでしょう。まぁ、そういう人と一緒に飲むのはまだギリギリOKだとしても、絶対にしてはいけないのが、『ツーショット写真を撮ること』と『おごってもらうこと』と教えていますね」

 反社会的勢力とのツーショット写真は、世に出回るだけで身を滅ぼす可能性があるほか、投資詐欺に使われるケースも。「この投資は、有名人もやっています」などと、人を騙す道具にされてしまう危険もあるだけに、「『事務所からNGと言われていて』と言うなど、誰かのせいにしてでもいいから、絶対に避けるべき。そもそも1人ではなく、必ずマネジャーや関係者、信頼のおける古くからの友人など、“ガードしてくれる人”と一緒に飲みに行った方がいい」という。

 また、おごってもらうことは、その分、相手に借りを作ることになる。

「元プロ野球選手で、中日ドラゴンズの監督も務めた落合博満氏は、クラブでほかのお客さんからボトルを入れてもらっても、同等額のボトルを相手に返していたと聞いたことがあります。こうした危機管理ができていたからこそ、選手としても、監督としても、野球に専念できて大成したのではないでしょうか。一方で、そうした対応ができず、反社会勢力との交際がウワサが立ち、結局、期待されながらも監督になれずじまいだった元プロ野球選手もいます」


「生きろ」 (通常盤)