インタビュー

W杯「日本対ベルギー戦」直前! 渋谷で大騒ぎするサッカーファンの心理を、臨床心理士が解説

2018/07/02 20:08

仲間意識に酔いしれたいという本能

 また、W杯は、人間の持つ2つの本能的な欲求を満たしてくれる面もあるという。

「実は人間というのは、本能的に『仲間意識に酔いしれたい』という思い、また外集団(自分と競争し対立していると感じる集団)に対して、攻撃的な気持ちを向けたいという思いを持っています。W杯の『日本対○○』という構図は、帰属意識によって『日本人=仲間』と思えますし、対戦国チームに遠慮なくブーイングをするなど、敵意を向けることが許されるんです」

 日常生活では、たとえ同じ職場の仲間だとしても「実は利害関係があるなど、仲間意識に酔いしれられないことが多い。一方で、『みんな仲良くしましょう』と言われ、誰かに敵意を抱くことがよしとされない風潮もあります」とのこと。W杯は、そんな抑圧された思いの発散場となっているようだ。

「仲間意識への欲求に関して付け加えるならば、“仲間とのバンド活動に没頭している人”などは、W杯のようなお祭りが不必要というケースもあるかもしれません。ただし、やはりどうしても日常生活にはさまざまなしがらみがあるだけに、早々満たされるものではない。親子間でも『子どもには、親には、こうあってほしい』といった思いを抱いてしまうものですし、シンプルなマインドでの仲間意識は、なかなか抱けないのかもしれませんね」

 ちなみにサッカーファンたちが一斉に声を出して「ニッポンコール」をするのも、仲間意識をより強める行為だと言い、「帰属意識に飢えている人は、『みんなが1つになっている』と感動するんですね」と語る。


 恐らく、ベルギー戦のキックオフに合わせて、渋谷にはまた大勢のサッカーファンが押し寄せることだろうが、事故や事件を起こすことなく、節度を持って仲間意識への欲求を満たしてほしいものだ。

最終更新:2018/07/02 20:08
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