サイゾーウーマンコラム中学受験で難関合格も不登校に コラム “中学受験”に見る親と子の姿 中学受験で難関私立合格、しかし不登校に――「息子を医者に」と願った“完璧主義ママ”の罪 2018/06/24 17:00 コラム“中学受験”に見る親と子の姿 Photo by Pabak Sarkar from flickr “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。 中学受験では、親、それも母親が子どもに及ぼす影響力が大きいのであるが、この母親の導き方次第で、子どもの運命が天と地ほども変わるということをご存じだろうか。 私見ではあるものの、中学受験は“賢くない親”は参入してはいけない世界だと感じている。抽象的な言い方になるが、子育てとは、我が子をまるごと観察し、認め、その時々の我が子に合ったサイズの箱を用意することであり、そして、箱の蓋は常に開けておかねばならない……と思う。しかし一方で、箱の装飾だけを気にして我が子のジャストサイズを見失い、親自身が勝手に作り上げた狭い箱の中に押し込めようとする“賢くない親”がいるのだ。 今回はそんな“賢くない母”の中でも、特に要注意人物に当たる“完璧主義の母”を取り上げてみよう。亜由美さんは地方都市出身者で、比較的裕福な家庭に生を受けた。大学で上京し、そのまま就職。それからほどなく夫と結婚し、現在も専業主婦という立場である。夫は総合病院の勤務医だが、代々医者という家系のため、将来的には実家の医院を継ぐことになっている。 そんな亜由美さんと夫のもとに、祐樹君が誕生した。夫の仕事は宿直も多く、激務であったので、育児のことも含め、家庭のことは全て亜由美さんが担っていたという。亜由美さんいわく「夫からも義実家からも『祐樹を医者に』という言葉は今まで一度も聞いたことはない」そうで、彼女だけが「この子は私が医者にさせねば!」という“変な使命感”に駆られていたという。 亜由美さんは、「胎教に良い」と聞けば、それ専門のお教室に通い、祐樹君が誕生してからは小学校受験を目指して、忙しい日々を送っていた。しかし、亜由美さんの孤軍奮闘は実らず、結局、祐樹君は学区内の公立小学校に入学する。 亜由美さんは当時、「あんなに頑張ったのに、小学校受験に失敗してしまい……。お教室の仲間は合格したのに祐樹だけが落とされて……。『小学校受験は母の努力』って聞くと、やっぱり私が至らなかったんだろうなって、猛省しました」と語り、こんな目標を立てたそうだ。 「中学受験ではもう絶対に失敗は許されない」 「お教室の友達が合格した学校よりも、さらに良い学校に祐樹君を入れる」 こうして祐樹君は、小学校の早い段階から、再び“受験塾”通いをすることになった。 次のページ クラス最高得点でも「満点じゃないと」 123次のページ Amazon プレジデントFamily 中学受験大百科 2018完全保存版 (プレジデントムック) 関連記事 中学受験に「父親」は必要ない? 試験本番、夫に「綺麗ごと言わないで!」と激怒した妻の告白「こんな偏差値、本当に俺の子か?」中学受験生の母が、“無理解な夫”との離婚を決めたワケ「大金払って中学受験させる意味って?」公立出身の母が、成績不振の息子に抱く疑問とその答え「受験校を勝手に決めた」母と「逆らわない」娘――不合格連発の中学受験で起きた“非常事態”私立中の懇談会で「こんな偏差値の低い学校に」と泣く母――中学受験での不合格は“負け”なのか?