谷亮子、プロ野球選手の妻が似合わないワケ――夫との馴れ初めVTRに見る「主役」という自意識
このほかにも、第三者の撮影した“谷が夫を電話でデートに誘う映像”も残っていて、そちらも番組内で公開された。スマホが普及している今なら、自分を撮ることは日常的な行為だろうが、この映像が撮影されたのは2000年である。「映像を撮らせる」行為は、芸能人などごく一部の人のものだった。SNSの登場で、現代人は「いかに人から注目されるか」を競うことを恥としなくなったフシがあるが、谷の自意識は20年早く、そこに到達していたのである。
“見られたい”という意識は、“自分が主役である”という意識だと言い換えることができるだろう。谷は、夫を食事に誘ったものの「その日は予定があるから、また電話する」と断られてしまったものの、電話を切った後、カメラ(撮影者)に向かって「言おうか、(予定を)『キャンセルして』って」と話している。その日に予定があるなら、別の日に……と提案するのが一般的な感覚だろうが、谷のように“自分が主役”という自意識の人は「用事があるなら、その用事をなくせばいい」と考えるようだ。
番組で明かされるエピソードは、柔道と子育て、柔道と国会議員の両立に悩む谷を、夫が励ましてくれたといったもので、どちらかというと、夫の行動の方が野球選手の妻っぽい。“主役でいたい”谷と、“優れた裏方体質を発揮する”夫。バランスの取れたいいカップルだと思うが、現在、谷は子育て中心の専業主婦生活を送っていて、表舞台とは一線を引いている。刺激のない生活には不向きなように感じるものの、2人の子息がアイスホッケーをやっていて、『サンデー・ジャポン』(TBS系)によると、全国大会に出場するなど有望株らしい。
もし子息がオリンピックに出場し、メダリストとなると、谷はメダリストの母となる。プロ野球選手の妻はあまり表に出ないことが美しいあり方とされるが、メダリストの母はその反対である。教育は全母親の関心事だからだ。抜群の知名度を誇る谷が、スポットライトを浴びながら「子どもをメダリストにする方法」を話す――谷がもう一度主役になるのは、その時だろう。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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