「私はブスなのではないか」容姿コンプレックスに苦しむ大人が増加、“終わらない思春期”問題
妹・有村架純に対する、劣等感を赤裸々に明かし、現在バラエティでの露出を増やしている姉・有村藍里。姉妹間の容姿コンプレックスをテーマに、兄弟姉妹間と容姿、それぞれのコンプレックスについて、精神科専門医である銀座泰明クリニックの茅野分(ちの・ぶん)先生に解説いただいた。後編では、コンプレックスの背景、向き合い方を掘り下げる。
――先ほど「若い女性にとって、『美しさ』は絶対的な価値観」と言われていましたが、容姿コンプレックスは、若い時期特有のものなのですか?
茅野分氏(以下、茅野) 思春期まではどうしても生じます。ある程度、思春期を越えて、青年期、大人になって自己や他者を客観視できるようになり、割り切って物事を見られるようになれば、おのずと減少していくのが普通です。ただ、最近では、大人になってからもコンプレックスに苦しむ人がいるようですね。
20年ほど前は、大体18歳くらいまでと考えられていた思春期が、今では30~40歳に延びていると言われています。原因として、親の過保護や過干渉により子どもが独立できなかったり、非正規雇用などで収入が得られずに実家で暮らさざるを得なかったりということが考えられます。つまり、まだ思春期が終わっていない……“終わらない思春期”の人が多くなっているんです。過度にコンプレックスに悩む大人は、もしかしたら“終わらない思春期”なのかもしれません。
――青年期以降になっても容姿コンプレックスが消えない場合は、どうすればよいのでしょうか?
茅野 さまざまな心理療法を試してみたり、容姿コンプレックスを抱いている対象者と“距離”を離してみたりすることが有効です。物理的に距離をあけてしまえば、周りから比べられる声も聞かずに済みますからね。そして、女性の場合は40歳を過ぎるとエストロゲン(女性ホルモンの一種)が低下し、おのずとそうした葛藤も消えていくことが多いですから、無理をして解消しようと思い詰めなくてもいいと思いますよ。
――有村藍里さんと有村架純さんは“芸能界”という同じ土俵に立っているから余計に比べられてしまうのかもしれませんね。
茅野 そうですね。しかし、同じ土俵だからといって同じ戦法で戦わなければいけないわけではありませんよね。芸能界に入れているくらいですし、日々努力をしている藍里さんは、もうすでに美人だと思うのですが……。容姿だけにこだわらず、何かプラスアルファ――“容姿”ではなく“能力”を磨くことを考えていくしかないと思います。