カルチャー
売り上げ主義の弊害?
「なろう系」は常識欠如!? 『二度目の人生を異世界で』にみる、ラノベの危うい“作者”事情
2018/06/11 11:45
「なろう系」出身作家の中で最もありがちな問題は、展開に行き詰まるというもの。「なろう系」投稿サイトでは、連載形式で投稿している作家も多い。まだ完結していない作品であっても、スカウトして出版するのが当たり前だ。だが、スカウト後に投稿サイトでの連載がストップ、連絡をしてもまったく音沙汰がない、という作品も多い。
「最初の設定やアイデアには優れているけれども、先の展開を考えずに勢いだけで書いている“出オチ作品”も多いのです。作家本人も、展開に困って書けなくなる場合は多々あります」(大手レーベル編集者)
中には、そのまま連絡が取れなくなってしまう作家も。準大手レーベルの編集者は、こんな体験をしたそう。
「メールも電話も、まったく返事が来なくなってしまったので自宅に尋ねてみたら実家暮らし。両親が応対してくれたのですが、『まあ、うちの子がそんな仕事を……。会話もしないから、全然知らなくて』と、驚きながら謝られたこともあります」
また、たった1冊出版されただけで「勘違い」してしまう作者も多い。
「書店に並んだ翌週から、毎日のように『アニメ化の話はまだですか』と、連絡をしてくるんです。そういう作家に限って、返本率が高かったり……」(中堅レーベルの編集者)
売れ行きが悪ければ、次はないのは当たり前。それでも「自分は商業出版をした」ことを鼻にかける作家も多い。
「よっぽど話題作でもなければ、数カ月で作品は忘れ去られてしまいます。なのに、何年も前の、たった1冊の本を自慢げに看板にしている作家もいます。名刺に書いたり、SNSの自己紹介欄に書いたり」(ラノベに詳しいライター)
もっとも恥ずかしいのは、無名レーベルから1冊出版した程度なのにSNSで作家然として振る舞っているケースだ。