サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「ほぼ路上」で暮らした13歳の“日常” カルチャー 川路智代『ほとんど路上生活』インタビュー 浮浪者が寝顔にオシッコ、父は援交で逮捕!? 「ほぼ路上」で暮らした13歳の“楽しい日常” 2018/06/05 18:30 マンガインタビュー川路智代 家庭内DVは、当たり前の「しつけ」だった 作中、遺産相続で祖父と父が言い争う声を聞くシーンや、母や兄、妹が顔中にあざを作っている描写もある。祖父はまさに「荒ぶる」という言葉どおり粗暴なイメージを想起させる一方、父は違う。作中では、いつも表情の変わらぬ薄ら笑いを浮かべ、見方によっては可愛くも見えてくる「熊」として描かれている。 (C)川路智代/エブリスタ/小学館クリエイティブ 川路 これまでは父親の顔を忘れかけていたのですが、この漫画を描くにあたり思い出したんですよ。本当にあの絵のままの顔。喜怒哀楽がなくて、何を考えているのかまったくわからない不気味な人でした。顔は優しくて、とても暴力を振るうようには見えないし。 ――作中では一切ありませんでしたが、父親らしいことをしてもらった記憶はありますか? 川路 ひとつだけあります。とある年の節分の日、四つんばいになった父の背中に私が馬乗りになり、手のひらに乗せた豆を父の口の前に差し出すと、食べてくれました。今考えれば、すっごい気持ち悪いんですけど(笑)。 ――異常な家庭環境は、隠そうと思っても他人から見ると違和感を覚えることがあるかと思います。当時通っていた保育所や幼稚園の先生には、何か指摘されなかったんでしょうか? 川路 記憶にないですね。指摘されても、母親が必死にごまかしていたんだと思います。とにかく人の世話にならないように。 父と結婚した母に降りかかったのは、まさに苦行だった。喜怒哀楽もなく会話もない夫。荒ぶる祖父。立つことが困難な曽祖父の介護を平然と押し付け、人一倍資産に執着する祖母。母は文句ひとつなく、自分の実家に泣きつくことなく、日々を真摯に生きた。子どもたちが生まれてからも、苦行を一手に背負い続けた。 (C)川路智代/エブリスタ/小学館クリエイティブ 川路 母のそういう話は、最近初めて聞いたんです。母も私と同じで、宴会場での記憶はないのに、嫌なことは本当によく覚えているんですよ。10時間以上話していましたが、それでも足りなそうなほどでした。 ――祖父母や父の、母に対する仕打ちは、とても十数年前のエピソードだとは思えぬほどです。 川路 田舎ですからね~。たしかにあそこは簡単には逃げられそうにないです。すごく狭いコミュニティで、噂で成り立っている場所で、身動きが取れなかったんでしょうね。 ――祖母の自殺の動機はなんだったのでしょうか? 川路 父には兄弟がいましたが、家系なのか、父含めほとんど働いていませんでした。それに、代々、女遊びと金遣いだけは荒かったそうで。曽曽祖父くらいかな、彼は女学校に出向き、「このなかで一番計算の早い娘を出してくれ」と言い、その子と結婚し、仕事をすべて任せたそうです。祖母も祖母なりに、何か悩み続けていたことがあったんだと思います。 次のページ 父が逮捕されても“楽しい日常” 前のページ1234次のページ Amazon ほとんど路上生活 (エヌ・オー・コミックス) 関連記事 盗撮、GPS、Twitterのアカウント暴露……SNS全盛の今、風俗嬢が「怖いこと」とは?「調教されて風俗入り」は意外と多い? “家畜部屋”で暮らした女性の“リアル”な過去とは神戸の近隣トラブル「砂かけババア」が逮捕! それでも「解決は難しい理由」を弁護士が解説「ペニバンを着けたら、自分になれた」――女という性を壊したかった「私」の衝動とは?「取り返しのつかないオナニーをしている」死を見て興奮する“わたし”の苦しさとは