コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
「こんな偏差値、本当に俺の子か?」中学受験生の母が、“無理解な夫”との離婚を決めたワケ
2018/05/27 17:00
受験が離婚の引き金になったことは否めないが……
筆者が、高校生になったタケル君に当時のことを聞いたところ、彼はこんな胸の内を明かしてくれた。
「そうですね、夫婦喧嘩はしょっちゅうだったんで『ああ、また始まった』っていう印象しかないです。なるべく、火の粉をかぶらないようにしないといけないので、逆に当時は勉強に集中する道しか思い付かなかったんです。これは僕の場合だけかもしれないですけどね(笑)」
タケル君いわく、当時、「親父は会社で責任あるポジションに付いたばかりでプレッシャーもあったと思います」という。
「疲れて帰って来ても、テレビをつけてはいけないとか、そんな雰囲気でしたから、家庭で安らげないのは、親父にとってきつかったのかもしれません。離婚がショックだったか、ですか? それは、まあ、そうですが、今では両親とも落ち着いて、顔を合わせても喧嘩はしませんし、2人の仲は以前より格段に良いので助かっています。2人が別れたとしても、僕にとっての両親には違いない。受験が引き金になったことは否めませんが、僕はどちらかの親が悪いとも、ましてや受験が悪いとも思っていません。これからも、僕は親父ともお袋とも仲良くやっていきますし、2人とも大事にしたいと思います」
夫婦のことは夫婦にしかわからないものであるが、中学受験は時として「夫婦の踏み絵」と化すことがある。タケル君のように“大人の対応”をしてくれる子ばかりではないので、やはり中学受験に踏み切る前に、予想される負担などを十分に考慮しつつ、夫婦間でコンセンサスを得なければならないと、筆者は警鐘を鳴らしたいと思っている。
(鳥居りんこ)
最終更新:2019/08/14 17:45