仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

ベッキーの「新しい私」アピールに見る、それでも「いい子と思われたい」メンタリティ

2018/05/24 21:00

ベッキーの根幹は変わっていない?

 また、ベッキーはひとり旅にも初挑戦したという。以前はひとり旅を「ひとりぼっち」だと思っていたが、実は「ひとり占め」だと気づいたらしい。航空券の手配なども、人の手を借りずに自分でやるので、「ハプニングが起こった時に回避できると『すごい、あたし回避できたじゃん』って思う」「計画通りにものごとが進めば、自分で自分を褒めることもできるのもすごくいい」「ひとり旅は、自分で自分を褒める時間ができて悪くないなって思いました」と述べていた。

 ベッキーについて「力が抜けた」「変わった」と感じる人もいるだろうが、私には根幹の部分は同じように感じられる。なぜなら、ベッキーは昔も今も「できていることで、自分を褒める」方式を取っているからだ。

 ベッキーの言う「仕事の充実」とは、たとえオファーが少なくても、その中で満足感を見いだすというものではなく、たくさん仕事が来ることをよしとする概念だろう。「スタジオを出るときにおじぎする」「朝、スタッフの名前を呼んで祈る」などのベッキールールも、より多くの仕事を呼び寄せたいというおまじないに近い意味合いがあるものだと思われる。仕事が来た、トラブルが回避できたというように、何かができた時に、自分を褒めるのは当たり前のことである。努力したけれど、どうにもならなかった、もしくはできなかった時に、いかにして自信とモチベーションを維持するかが大事なのではないだろうか。

 もし今回の不倫騒動を失敗とするなら、その原因はヒトを見る目のなさだろう。「文春」にベッキーと川谷のLINEのやりとりが掲載されたことで、2人は不倫関係であることが証明されてしまったが、川谷は前妻に離婚をしたいと申し出た際、「大切な人がいる」とまで告白していたことがわかった。

 離婚の話を切り出す際に、次の女性の存在を明かすとは、はっきり言って大バカ者である。前妻は「それってアウトだよね」と返したそうだが、この発言には簡単に離婚をするつもりがないこと、また報復の可能性がゼロでないことがほのめかされている。川谷やベッキーがそのあたりを考えなかったのは、人の気持ちに疎いか、前妻を少々みくびっていたかのどちらかだろう。


 つまり、今回の厄災は、捨てる妻に対する配慮があまりにもなかったことから生まれているのである。となると、ひとり旅をして「できた」と自分を褒めるより、積極的に他人と関わって、さげチンに引っかからないように男を見る目を養ったり、他人の心の機微を学んだ方が「新しいベッキー」になるためには有効ではないだろうか。

 ベッキーももう30代半ば、自分の心の黒さやみっともない部分を認めて、思い切ってさらす勇気が必要なのではないだろうか。今のベッキーは、まだ「いい子と思われたい」域から脱していない気がする。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2018/05/24 21:00
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「仕事の充実が全てじゃない」発言もいい子なんだよね