「子ども乗せ自転車」はトラブルの温床!? 幼稚園で駐輪場争い、盗難、いたずら……悩めるママ
保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。
時間のないワーママたちや、子育て中の家庭にとって“3種の神器”と呼ばれている、ロボット掃除機、洗濯乾燥機という家事を時短できる家電類、そして子ども乗せ電動自転車。都心では自家用車を維持するにはコストがかかるため、電動自転車が主流で、マンションなどの集合住宅の駐輪場を見ると、子ども乗せ自転車が何台も置いてある光景を見ることができる。子ども乗せ自転車は、子育て中のママにとって、園への送迎や、通院など日常生活に欠かせないアイテムだが、一方でさまざまなトラブルを巻き起こすものだという。
子ども乗せ自転車をめぐるトラブルは、駐輪で揉めるケースが多い。5歳になる男児を持つ裕子さん(仮名)は、寺が経営している幼稚園に年少クラスから息子を通わせている。
「寺の境内の中に幼稚園があり、駐輪場は外にある車用の駐車場のスペースを借りて使っています。最近は、近隣の地区からの入園も増えて、子ども乗せ自転車を置くスペースがパンク寸前。暗黙の了解で、近所の子は徒歩で来たり、兄弟で園に通っているご家庭が駐輪場を優先的に使っています。うちは、徒歩で15分くらいのところから通っているのですが、『子ども1人で、年少からの入園なのに自転車を停めるなんて!』と、プレから通っているママに注意されました」
裕子さんが通う幼稚園には、「プレ幼稚園」と呼ばれる満2歳児からのクラスがある。幼稚園に通う子どもへの補助の条件は自治体によってまちまちだが、満3歳児での入園から適応されることが多いため、プレはほぼ自費負担。にもかかわらず、プレから幼稚園に子どもを通わせる家庭は、プレのクラスがそのまま年少に持ち上がることを見越して入園させているのだ。「それだけこの幼稚園に入れたいという思い入れがある」――そんな自負があるからか、プレ入園のママの中には、年少入園のママを下に見る人がいるという。
「年少入園のママは、プレですでに人間関係ができあがっているママ友グループに入ることになるので大変です。あと、その幼稚園は地元でも歴史ある幼稚園で、パパやママの中にそこの幼稚園を卒園している親子も多い。園長先生はどうも卒園生をひいきする傾向があって、登園時、混雑する駐輪場で卒園生のママが立ち話をしていても見て見ぬふりをするんです」
仕方なく、“数分くらいなら……”と、寺の敷地外のスペースに自転車を停車していると、近隣住民から「邪魔だ」と注意されることもあるそう。
「この前は、通りすがりの年配女性から『自転車は車道に停車しなさいよ』と怒られました。なんだか不平等だなって感じるのですが、園側に言っても『ママ同士の問題なので、譲り合ってください』と対応してもらえないんです。本当に困っているんですが、園から『モンペママ』と思われるのも、プレ入園ママに目をつけられるのも怖くって、あまり強く言えません……」
子ども乗せ自転車を置けるスペースが確保できれば、解決できそうな問題だが、実際は譲り合って使うしか手段はなく、この先も解決しそうにない。