知られざる女子刑務所ライフ38

ムショにも覚醒剤を持ち込める!? 膣や肛門まで調べられる「全裸検診」の屈辱

2018/05/13 16:00
nakanorumi38
Photo by Ace Armstrong from Flickr

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■刑務所の身体検査「カンカン踊り」とは?

「刑務所っていうと、『カンカン踊り』ですよね? 女子刑務所でもやるんですか?」

 編集者さんから聞かれました。これだからシロートは(苦笑)。女子刑務所でそんなんやらせたら、それこそ人権問題でしょうし、男子でもとっくになくなってますよ。

 映画や漫画で取り上げられるようですが、「カンカン踊り」とは、かつてあった男子刑務所の身体検査の方法です。全裸で「アッカンべー」をして、まぶたの下と舌を見せ、手のひらを広げます。なんか踊ってるように見えるからこんなネーミングなんでしょうが、つまりこれは「何も隠し持ってない」ということを証明させられているんです。ちゅうか屈辱的な格好をさせて、「オマエには人権なんかあらへん」と思わせる意味もあるんでしょうね。


 でも、今は全裸ではなくパンツ着用で、足元は鏡らしいです。あとはアッカンベーと手を広げる程度だそうですが、近所の元不良は「カラオケボックスでなら、カンカン踊り再現したろか」言うてました。いっぺん見ときましょうかね。

 しかしながら、男子ほどではないですが、女子の検査もけっこう屈辱的です。全裸で四つん這いになって20秒くらいそのまま静止。膣や肛門、耳の穴まで「何かを入れてないか」を確認されるのです。まあ入れようと思えば入れられるんですが、実際どうなんですかねえ。

■ムショに覚醒剤を持ち込む方法

 確かに空港の税関などでは、「ボディ・パッキング」といって、コンドームの中に詰めたりラップにくるんだヘロインや覚醒剤を大量に飲み込んで密輸する例もあります。たまに飲み込んでた人が逮捕(パク)られてるニュースを目にしますが、これは命がけです。よくできるなあと他人事ながら感心します。パックが破れたらかなりの確率で死にますからね。“めくれて”(明らかになって)ないだけで、けっこう亡くなってはるでしょう。

 女性の場合はアソコに入れる場合もあるようです。こういうこともあるから、日本のムショも全裸の検査をするんでしょうが、日本人は密輸するにしても、あんまりそこまで体を張った方法は取らないと思いますけどね。


 むしろ日本のムショでは刑務官を取り込んでいます。有名なのは2013年に府中刑務所で起こった件ですね。刑務官に覚醒剤を持ってこさせるって、どんだけー? ちゅう感じです。

 シャブやなくてもタバコや酒、携帯電話なんかを刑務官に差し入れさせるのは何度も問題になっていますね。これにはワイロを渡して抱き込む方法と、ミスをさせて弱みを握る方法があります。ワイロは刑務官の家族に渡している場合もあります。

 弱みを握るには、まず何度も刑務官を呼び出したりして手を焼かせ、「切手を1枚くれたらおとなしくする」などと言います。それで、切手をもらえたらシメたもの。「チョーエキ(受刑者)にモノを渡すとは何事だ。上司に言うぞ」と脅かすわけですね。刑務官は小さな不正をごまかすために、懲役の要求を飲み、どんどん取り返しのつかない方向へ行ってしまうのです。

 これはかなり古典的なやり方なのですが、今もアリなようですよ。よい子の皆さんは絶対にマネしないでくださいね。ちゅうか、私が言うことではないのですが、まずはムショに行かないようにしましょう。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

※この連載が本になります!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)5月17日発売

最終更新:2018/05/13 16:00
女子刑務所ライフ!
女子の身体検査のほうが屈辱的な気が……